生地から柔らかい3Dオブジェクトを制作できる新しいタイプの3Dプリンター

A Layered Fabric 3D Printer for Soft Interactive Objects [1]

Disney Researchとカーネギーメロン大学の研究チームが、既製の布地から、柔らかく変形可能な3Dオブジェクトを形成できる、新しいタイプの3Dプリンターを発表しました。

本研究で提案しているプリンターは、ファブリックのシートが3Dオブジェクトの各レイヤーを形成するアプローチを採用しています。
プリンターはレーザーカッターを使用して、レイヤーの2D輪郭に沿ってカットし、感熱性接着剤を使用して、その前に印刷されたレイヤーに接着します。
各層の周囲の布地は一時的に保持され、その上に印刷された層に取り外し可能な構造となっています。
このプロセスを繰り返して、レイヤーごとに3Dオブジェクトを構築しています。

また、このプリンターは、2種類の生地を自動的に1枚のプリントに送ることができます。これにより、導電性ファブリックの特別にカットされたレイヤーをソフトプリントに埋め込むことができるそうです。
この機能を使用して、1回の完全な印刷プロセスでソフトプリントにタッチセンシング機能を組み込んだ3Dモデルと、ワイヤレス用の導電性ファブリックコイルを使用したシンプルなLEDディスプレイを示しています。

尚、本研究は2015年度のCHI会議(ACM Conference on Human Factors in Computing Systems)にて報告されたものです。

[1] : Peng, H., Mankoff, J., Hudson, S. E., & McCann, J. (2015, April). A layered fabric 3D printer for soft interactive objects. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1789-1798). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=2702123.2702327

紙を使用した折り紙TENG(ナノ発電機)に関する研究

Figure 1. (a) TENGの構造, (b) エッチングされたPTFEの表面SEM図, (c) 単位セル図, (d) マルチセル図
(文献[1]のFigure1より引用)

再生可能かつ持続可能な電源の発見は、グリーンエレクトロニクスとセンサーネットワークの開発に不可欠です。ユーザーの視点で言えば、自分たちの日常生活の行動を変えることなく、新しいエネルギーが生まれる可能性があるからです。

本論文では、高度な柔軟性、軽量、低コスト、リサイクル性を備えた、出発材料として紙を使用した折り紙摩擦電気ナノ発電機(TENG)を紹介しています。

TENGとはtriboelectric nanogeneratorの略で、現在エネルギーハーベストの分野で数多く研究がなされている分野です。
本論文の提案する手法では、プリンター用紙を適切に折り畳むことにより、スリンキーおよび落書きバグ型のTENGを簡単に作成できるそうです。
製造時のTENGは、ストレッチ、リフティング、ツイストなど、さまざまな種類の人間の動きから周囲の機械的エネルギーを収集でき、生成された電気出力は、商用LEDを直接点灯するために使用しており、製造時のTENGは、自己給電式の圧力センサーとしても機能すると主張しています。

ただ電流量の出力を見るとまだ実用化には少し時間がかかりそうですが、こういった身近な物理エネルギーを電気エネルギーに変えた研究が進むことが期待されます。

[1] : Yang, P. K., Lin, Z. H., Pradel, K. C., Lin, L., Li, X., Wen, X., … & Wang, Z. L. (2015). based origami triboelectric nanogenerators and self-powered pressure sensors. ACS nano9(1), 901-907.

URL : https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn506631t

イノベーションの始まりは身の回りの問題に「気づく」こと:トニー・ファデル

The first secret of design is … noticing [1]

自明な問題に目を向けるだけでなく、見えない問題に目を向ける事こそが重要です。
私達の身の回りは見えない問題だらけです。解決する為にはまずそれらを見つけて感じ取らなければならない。

出典:https://www.ted.com/talks/tony_fadell_the_first_secret_of_design_is_noticing/

こう語るのは、Apple製品 iPodの生みの親の1人とも言われている、トニー・ファデル氏です。

ファデル氏は、2001年にiPod開発の責任者としてAppleに入社し、2006年にはiPod部門担当上級副社長に就任、2010年3月にAppleを退社。その後、2010年にテクノロジー会社のNestを起業し、家庭でのエネルギー利用の効率化が出来る学習機能を持ったサーモスタットシステムを発表し、2014年1月にGoogleに買収されている、という知る人ぞ知る、起業家兼技術者の1人です。[2]

新商品を世界に向けて発信する際に、「どういう目線でプロダクトを見つめ続ける必要があるか」というApple時代のスティーブ・ジョブズの教えや、イノベーションを起こす際に自分の周りを見て、自分たちの習慣に埋もれている様々な課題に「気づく」ための必要な3つのマインドセットなどを紹介してくれる動画です。

ご興味のある方はご覧いただければと思います。

[1] : https://www.ted.com/talks/tony_fadell_the_first_secret_of_design_is_noticing

[2] : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%87%E3%83%AB

使い捨ても可能な安価に製造できるソフト平面アクチュエータ

Sticky Actuator: Free-Form Planar Actuators for Animated Objects

昨今、様々な形のソフトロボットが提案されており、業界的にも非常に多くの研究がなされています。

本論文では、日常の物体を動かすのに適した、ソフト平面アクチュエータを提案しています。アクチュエーターは、背面が接着剤の付いた1つ以上の膨張するポーチ(小さな袋)で構成され、正方形、円、リボンはすべて製作可能であり、変形も可能と主張しています。直線、回転、などの複雑な動きを作ることができ、プログラマブルな制御も可能だそうです。

同時に本論文のユニークなポイントとして、実際に制作したプロトタイプを用いて、ユーザー調査を兼ねた子供向けの折り紙の実践的なワークショップを開催していますので、データとしても信憑性が高いものがあります。

また、量産を容易にするために、アクチュエータ用の安価な材料を使用していますので、ソフト/フレキシブルロボットコンポーネントが迅速かつ安価に拡張できる未来を構想できると主張しています。

[1]:Niiyama, R., Sun, X., Yao, L., Ishii, H., Rus, D., & Kim, S. (2015, January). Sticky actuator: Free-form planar actuators for animated objects. In Proceedings of the Ninth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (pp. 77-84). ACM.

URL : https://dspace.mit.edu/handle/1721.1/97537

1 79 80 81 82 83 84 85 86