Google ATAPがProject Jacquardで衣服に新たなテクノロジーを

Project Jacquardは、GoogleのATAPが主導して実施したプロジェクトです。目に見えないユビキタスな双方向性を大規模に展開できる製造技術を提供することが目的、要するに衣服にデバイスをつけ、それをユーザーインターフェースとし、衣類にテクノロジーを付与する画期的な取り組みです。

既存の織物製織技術と設備を使用して安価に製造できる新しいインタラクティブ織物素材を提案している点が非常にポイントになっています。論文中にあるように、既存の製造プロセスを大幅に変更しないことでスケールメリットを考慮している、と報告しています。

開発自体は、新しい高導電性糸の設計とエンジニアリングに特化しており、テキスタイルをインターフェースとした様々なインタラクションを提供するためのベースとしている、とのことです。
糸とテキスタイルは、標準的なテキスタイル製造プロセスで製造でき、任意の色に染めたり、さまざまな素材で作ったり、衣服のデザイナーのニーズに合わせてさまざまな太さや質感にデザインしたりできるといったメリットが挙げられています。

Jacquardは様々なブランドとコラボし、新しい衣服の形を提案してくれる日が近い将来やってくるかもしれません。

[1] Poupyrev, I., Gong, N. W., Fukuhara, S., Karagozler, M. E., Schwesig, C., & Robinson, K. E. (2016, May). Project Jacquard: interactive digital textiles at scale. In Proceedings of the 2016 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 4216-4227). ACM.

論文URL:https://dl.acm.org/citation.cfm?id=2858176

リアルタイムの物体変形のための線形部分空間設計

Linear Subspace Design for Real-Time Shape Deformation [1]

ペンシルバニア大らの研究チームが、線形変形部分空間を設計し、線形ブレンドスキニングと重心座標を統合する方法を開発、その成果を2015年度のACM Transaction on Graphicsに寄稿しています。

変形部分は、形状変形と物理学ベースのアニメーション(低次元物理学)の複雑さを削減しています。補間、滑らかさ、形状認識、局所性、定数精度と線形精度の両方など、多くの望ましい特性を備えています。ドメイン境界で線形精度を誘導する離散ラプラシアンを介して構築された2次変形エネルギーを最小化することで、これらを実現するそうです。

特に本手法の利点は速度で、部分空間ベースは、細かく分割されたドメインに対してもインタラクティブに計算されるスパース線形システムのソリューションになっている点だそうです。
ユーザーは、コントロールハンドルを追加、削除、または再配置することにより、ハンドルでの変換の適用とサブスペースの編集をシームレスに切り替えることができます。高速計算と優れたプロパティの組み合わせにより、適切なサブスペースの設計は、ハンドルの操作と同じくらいクリエイティブになると主張しています。

[1] : Wang, Y., Jacobson, A., Barbič, J., & Kavan, L. (2015). Linear subspace design for real-time shape deformation. ACM Transactions on Graphics (TOG)34(4), 1-11.

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/2766952

空間を飛ぶソフトロボットとは

A 3-D Printed Functionally Graded Soft Robot

Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Science(SEAS)の研究者は、自律的に移動する3D印刷されたソフトロボットの1つを製作しました。この設計は、長年にわたってソフトロボティクスを悩ませてきたエンジニアリングの課題に対する新しいソリューションである、剛性材料とソフト材料の統合を提案しています。

剛体ロボットの自律性と速度をソフトロボットの適応性と弾力性と組み合わせることができ、かつ製造自体が3D印刷のため、比較的安価で高速、という利点があるそうです。ボディが剛性コアから柔らかい外部に移行する燃焼駆動ロボットを製造することで、弾性率が3桁に及ぶこの剛性勾配により、パフォーマンスも向上したと報告しています。 動画中でもこのロボットが飛ぶ姿が見ることができますが、原理的にはブタンと酸素の燃焼を動力として、飛んでいるそうです。

将来的には、ソフトボディのロボットは狭いスペースに押し込めたり、押しつぶされる可能性のある環境で作業したりできるようになるはずですが、その時の課題である電力伝送に関して、少しソリューションになり得る解を提示したと報告しており、さらにこのロボットでは、材料硬度の変化によって堅牢性も向上したと報告しています。

[1] : Bartlett, N. W., Tolley, M. T., Overvelde, J. T., Weaver, J. C., Mosadegh, B., Bertoldi, K., … & Wood, R. J. (2015). A 3D-printed, functionally graded soft robot powered by combustion. Science349(6244), 161-165.

URL : https://science.sciencemag.org/content/349/6244/161.full

完全に統合されたロープロファイルロボット折り紙:Robogami

完全に統合されたロープロファイルロボット折り紙 [1]

プログラミングされていないタスクや予期しない環境の変化に対応できるインテリジェントロボットシステムには、「柔らかさ」の強化が必要です。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが提案した、Robogamiは、折り畳み式の薄型ロボットで、ソフトアクチュエータによって駆動されるボディを持ち、物質としても動作的にも柔らかさを持っています。
Robogamiのユニークなハードウェアとそのサブミリメートルの厚さの構造により、紙の折り紙で実現できるような多様な変換が可能になります。

Robogamiは、薄いシート内にコントローラーを含むすべての必須コンポーネントを備えた最初の完全統合バージョンであり、このロボットの構築は、正確で再現性のある低コストの平面製造方法によって可能です。

本研究では、双方向の作動、検知、制御回路を組み込むことにより、Robogamiの機能を拡張することを目指しているそうで、センサーとアクチュエータの性能を評価するために、単一モジュールと4脚クローラーロボットのこれらのコンポーネントの性能について報告しています。

[1] : Firouzeh, A., & Paik, J. (2015). Robogami: A fully integrated low-profile robotic origami. Journal of Mechanisms and Robotics7(2), 021009.

URL : https://infoscience.epfl.ch/record/208749?ln=en

1 78 79 80 81 82 83 84 86