昆虫の生体力学にインスパイアされたマルチコプター

Insect-Inspired Mechanical Resilience for Multicopters [1]

EPFLの研究チームが、昆虫によって進化した生体力学的戦略を使用した衝突に強いクワッドコプターの設計と実証実験について発表し、その結果を2017年度のIEEE Robotics and Automationに寄稿しています。

ドローンの使いやすさと汎用性は、娯楽から捜索や救助まで、いくつかの分野での展開に貢献しています。 ただし、ドローンは、パイロットのミスやさまざまなシステム障害による衝突に対して脆弱なままです。
本論文で提唱している衝突に強い昆虫の翼の生体力学的戦略を抽象化したクワッドコプターは、飛行エンベロープ内の空力的負荷に強固に耐える二重剛性フレームを備えていますが、損傷を避けるために衝突中に柔らかく折りたたむことができるそうです。
二重剛性フレームは、中央ケースに収容されているドローンの敏感なコンポーネントを保護する特定のエネルギー吸収材料と相乗効果を発揮しており、提案しているアプローチは、高速衝突に耐えることができる50gクワッドコプターで検証されています。

提唱しているアプローチにより、剛性材料と軟質材料の両方の利点を単一のデバイスに結合して、その汎用性と機能性を高めることができると主張しており、このソリューションは、損傷を軽減するために柔らかくする必要がある他の移動ロボットまたはマニピュレーターにとっても有用だと締めくくっています。

[1] : Mintchev, S., de Rivaz, S., & Floreano, D. (2017). Insect-inspired mechanical resilience for multicopters. IEEE Robotics and automation letters2(3), 1248-1255.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/7833174

DEAベースのバイオミメティックスイミングロボット

Biomimetic Underwater Robots Based on Dielectric Elastomer Actuators [1]

EPFLの研究チームが、導電性液体でも確実に動作するDEAベースのバイオミメティックスイミングロボットを作成する方法を発表し、その研究成果を2016年度のIEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS)会議に寄稿しています。

ソフトアクチュエータ技術である誘電性エラストマーアクチュエータ(DEA)は、生体模倣水中ロボットに大きな期待を寄せています。海中における使用アプリケーションは、軍事用から探索用、水中パイプラインなどの点検やエンターテインメントなど、幅広い用途が想定されており、水中ドローンなどの開発も盛んです。
ただし、ロボットを駆動する電源、つまりDEAを駆動するために必要な高電圧は、水中での使用が困難です。

本論文では、導電性液体でも確実に動作するDEAベースのバイオミメティックスイミングロボットを作成する方法を示しています。
シリコーン層を積層することにより、作動性能を低下させることなく、高電圧DEA電極の絶縁を確保します。

また、魚とクラゲを製作し、水中でテストをしています。魚ロボットの長さは120mm、質量は3.8g、クラゲロボットの直径は61mmで、質量は2.6gで、周期的な3 kVの駆動電圧で測定された水泳速度は、魚ロボットでは約8mm/s、クラゲロボットでは約1.5 mm/sだったと報告しています。

実際海中や水中で使用する場合は、波の速度が早く、さらに推力を増強する必要がありますが、こういった研究が進むことが望まれます。

[1] : Shintake, J., Shea, H., & Floreano, D. (2016, October). Biomimetic underwater robots based on dielectric elastomer actuators. In 2016 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS) (pp. 4957-4962). Ieee.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/7759728

植物の動きに触発された動的に変化するアーキテクチャを実現する4Dプリンティング

4D Printing: Shapeshifting Architectures [1]

ハーバード大学の研究機関であるWyss Instituteが時間の経過とともに形状を変化させることができるハイドロゲル複合アーキテクチャを提案、その構造体を印刷したと発表し、その研究成果をNature materialsに寄稿しました。

形状モーフィングシステムは、スマートテキスタイル、自律型ロボット、薬物伝達および組織工学を含む多くの分野で見られます。このようなシステムは、自然の花や植物などが持つさまざまな器官が、環境刺激(湿度、光、タッチなど)に反応し、動的なコンフォメーションを作り出す組織構造や微細構造に類似していると言えます。

こういった植物システムに触発され、規定された4次元印刷経路に沿ったセルロースフィブリルの配列によって制御される、局所的な異方性膨潤挙動でエンコードされた複合ハイドロゲル構造を印刷したと報告しています。
所定のターゲット形状のアライメントパターンを設計するという逆問題を解決できる、最小の理論的フレームワークと組み合わせると、水に浸漬すると形状が変化するという、植物の動きに触発されたアーキテクチャをプログラム可能に作成し、複雑な3次元形態を生み出すことができます。

本研究は、生体適合性と柔軟性のあるインク設計により、組織工学、生物医学デバイス、ソフトロボット工学などのデザイナーの形状変更アーキテクチャを作成するための新しい道を開く、と主張しています。

[1] : Gladman, A. S., Matsumoto, E. A., Nuzzo, R. G., Mahadevan, L., & Lewis, J. A. (2016). Biomimetic 4D printing. Nature materials15(4), 413.

URL : https://www.nature.com/articles/nmat4544#citeas

システムレベルでTSVを使用した半導体メモリの3Dシステムパッケージアーキテクチャ

Figure 1. 1970年代以降の半導体メモリにおける3D packaging技術 [1]
(論文[1]のFigure 1より引用)

3Dパッケージングは、メモリパッケージのパッケージングのために1970年代に始まりました。 メモリ密度は、常に2つのパスにつながる高性能コンピューティングシステムのボトルネックでした。
2Dのチップ内のメモリ密度を増やし、3Dでパッケージ化されたチップまたはベアチップの多くをスタックすることで増加します。 ただし、システムパフォーマンスの障壁は、ロジックとメモリ間の遅延と帯域幅です。ロジックとメモリの3Dスタックは、10年の究極のソリューションと見なされてきましたが、独自の障壁があります。これらの障壁は多くのアプローチで克服されていますが、究極の目標は、最小のコストで最高のパフォーマンスと信頼性を備えた小型システムを形成することです。

本論文では、ジョージア工科大学のラオ・R・タマラ氏が、デバイスレベルの3D構造のICチップとは対照的に、システムレベルで帯域幅とその他の要件の両方に対処するための3Dシステムパッケージアーキテクチャを紹介し、その研究成果を2017年度のIEEE International Electron Devices Meeting (IEDM) にて報告しています。

論文中に記載がありますが、ジョージア工科大学では、ガラス基板の上下にメモリなどの半導体を接続するアーキテクチャを提案しており、シリコン基板で実施しているTSV(Through Silicon Via)と呼ばれる貫通ビアの形状に似た、数μmの貫通ビアを形成してガラス基板越しで接続する構造を形成しています。
このことにより相互接続による速度遅延がなく、I/O密度の向上と帯域幅の確保が実現できるそうです。

[1] : Tummala, R. R. (2017, December). 3D system package architecture as alternative to 3D stacking of ICs with TSV at system level. In 2017 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM) (pp. 3-4). IEEE.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/8268319

1 71 72 73 74 75 76 77 86