肌の接触によって充電できる洗濯可能な繊維ベースの摩擦電気ナノ発電機

Figure 1. 提案されているTENGの構造とSEM画像、および充電における機構の説明概要図 [1]
(論文[1]のFigure 1より引用)

摩擦電気効果を介して生体力学的エネルギーを収集できるテキスタイルは、セルフパワーのウェアラブルエレクトロニクスにとって非常に興味深く、様々な分野の研究者や事業家が注目しています。高い摩擦電気出力を備えた、順応性と耐久性のあるテキスタイルの製造は依然として困難です。

シンガポールの南洋理工大学の研究チームが、身体運動から機械的エネルギーを収集するための、肌の接触によって充電できる洗濯可能な繊維ベースの摩擦電気ナノ発電機(通称TENG)を提案し、その研究成果をNature Communicationに寄稿してます。

疎水性セルロースオレオイルエステルナノ粒子でカプセル化された黒リンは、電子トラップコーティングとして機能し、さまざまな極端な変形、激しい洗浄、および長期にわたる環境曝露に関係なく、長期的な信頼性と高い摩擦電気を備えたテキスタイルナノ発電機を実現するそうです。
わずかな力(〜5 N)と低周波(〜4 Hz)で手で触れると、かなり高い出力(〜250〜880 V、〜0.48〜1.1 µA cm-2)が得られると主張しています。
この順応性のある全テキスタイルナノ発電機は、布地や肌に組み込むことができ、肌との微妙な摩擦による60 Vの低出力をキャプチャすることができるそうで、ユーザーの動きや日常の操作に適している、と締めくくられています。

[1] : Xiong, J., Cui, P., Chen, X., Wang, J., Parida, K., Lin, M. F., & Lee, P. S. (2018). Skin-touch-actuated textile-based triboelectric nanogenerator with black phosphorus for durable biomechanical energy harvesting. Nature communications9(1), 1-9.

URL : https://www.nature.com/articles/s41467-018-06759-0