肌に貼れる新しいHaptics deviceがNatureに掲載されました

Haptic Skin: A virtual sense of touch

本論文は2019年11月にNature誌からPublishされたもので、本記事は論文の概要を説明したものです。

本論文における研究背景となる仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の従来の技術は、人間の五感に纏わる感覚を、擬似的に再現する視覚および聴覚刺激を通じて、人間に新しい体験を与えてくれます。
現在最も広く普及しているVRおよびARシステムに関しては主に視覚と聴覚をベースに研究開発されているものが多数です。今回の研究で着目しているのは、皮膚であり、VRとARテクノロジーの比較的未熟な感覚インターフェースですが、それでもコミュニケーション、エンターテイメント、医療などの分野に直接関連して、質的なレベルで体験を大幅に向上させることができる、と主張しています。

本論文では、電子システムと触覚(つまりタッチベース)インターフェースにおけるワイヤレスかつバッテリー不要のプラットフォームを紹介しています。これは、皮膚の曲面に、層構成した積層型デバイスを用いて、触れている部分に対する局所的な機械的振動をプログラマブルに与えることで、情報を伝達することができルものです。

FIgure 1. スクリーン上に映った別の人の皮膚を触るユーザー(Left)
触られた側人は、スクリーンに連動してデバイスのアクチュエータが振動し、触れられているように感じる(Right)

図1では、本論文でのユーザーエクスペリエンスを紹介しています。図からわかるように、体験としては、振動アクチュエータが、デバイスを装着している人の皮膚に振動を加え、仮想的な触覚を提供する、というものです。このデバイスは、皮膚に柔らかくラミネートする軽量の電子シートで構成されており、アクチュエーターの色は、低(黄色)から高(赤)までの作動度を表すそうです。
このプラットフォームの基盤となる材料、デバイス構造、電力供給、および通信スキームについて説明しています。実際の構成に関しては、論文を参考にすると良いですが、多層構成になっているものの、特段入手しにくい材料が見られる訳ではありません。

この技術によって提供できるユーザーエクスペリエンスとして、ソーシャルメディアや個人のエンゲージメント、義肢の制御とフィードバック、ゲームやエンターテイメントのアプリケーションなどだそうです。現在他の技術でも実証されているように、皮膚が電子的にプログラム可能な通信と身体への感覚入力チャネルを提供するといった動きをさらに加速させてくれる可能性を感じます。

[1] : Yu, X., Xie, Z., Yu, Y. et al. Skin-integrated wireless haptic interfaces for virtual and augmented reality. Nature575, 473–479 (2019)

関連記事URL:https://www.nature.com/articles/d41586-019-03506-3
論文URL : https://www.nature.com/articles/s41586-019-1687-0