MITらが開発した新しいボタン型インターフェース

SensorSnaps: Integrating Wireless Sensor Nodes into Fabric Snap Fasteners

本論文は2019年度のヒューマンコンピュータインターフェースに関する国際会議であるACM Symposium on User Interface Software and Technology(通称UIST)で報告された内容です。

現在テキスタイルや服、糸などに電子機器を追加する研究が盛んに行われています。ただ課題も多く、特にテキスタイルに電子機器を追加するには時間がかかり、専門知識が必要です。
本論文では、SensorSnapsというボタン部分などに簡単につけられるデバイスを提案しています。 SensorSnapsは、センシング機能を使用して衣服のあらゆる場所を迅速かつ直感的に拡張でき、なおかつ市販のスナップファスナーに安全に取り付けたり取り外したりできる、と主張しています。
原理は簡単で、デバイスにタップおよび回転ジェスチャを検出するために9軸IMU(3軸加速度 + 3軸角速度 + 3軸方位)センサを導入し、身体の動きを追跡すると同時にマイコンとBluetooth送信機もついています。
彼らの検証では、消費電力を最適化して、スタンバイモードで45分間、最大4時間連続して動作することを確認したそうです。

論文中にも提唱されていますが、著者らが想定するアプリケーションは、日常生活における主なユーザーインターフェースとなることで、音楽再生などを想定しているそうです。
ただし、バッテリーの寿命が短いことやバッテリーの充電に手間がかかること、コストが想定より少し高めであること(論文中に額は出ています)、衣服のデザイン性が損なわれることとなどが挙げれれますが、大規模に生産し、小型化が進んでいけば、高度なセンシングおよび通信機能を提供する新しいテキスタイルの道を開いてくれるかもしれません。

[1] : Dementyev, A., Vega Gálvez, T., & Olwal, A. (2019, October). SensorSnaps: Integrating Wireless Sensor Nodes into Fabric Snap Fasteners for Textile Interfaces. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 17-28). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3347913