本論文は、2018年度に行われたヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)における国際会議であるthe SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems(通称CHI)で報告された内容です。
本論文では、印刷された紙でできたアクチュエータを、低コスト、電気的な動作、および検知方法として使用することを提案しています。 紙でアクチュエータを制作可能という点においては、インタラクションにおける材料のライブラリを拡張する、簡単にアクセスできる技術という意味で非常に価値があります。二層曲げ作動、熱可塑性樹脂の形状記憶効果、導電性印刷フィラメントを介した電流駆動加熱など、3つの物理現象を統合することにより、アクチュエータを開発した、と報告しています。
熱溶解積層法(FDM)方式の3Dプリンターを用いて、コピー用紙に単層の導電性ポリ乳酸(PLA)を印刷するだけで制作可能であり、本論文では、製造プロセス、材料メカニズムなどについて説明し、その後に電子的なセンシングおよび制御方法について説明しています。
ヒューマンコンピュータインタラクション系ならではかもしれませんが、論文中では、様々なアプリケーション、特にロボティクス、インタラクティブアート、エンターテイメント、家庭環境の4つのコンテキストで調査しています。
動画中にもありますが、マイコンと組み合わせれば自由度の高いアクチュエータになるし、かつ紙というコストが安く実装できる部分にも着目すると、非常に良い取り組みだと思います。
ただRelated workに書かれているように、類似した研究も多いので、興味のある方は他のPaper-printed electronicsの論文についても、調査してみると良いかもしれません。
URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3173574.3174143