パイプの中など複雑な形状を移動できる空気圧で動くヘビ型ソフトロボット

3D-printed Pneumatic Soft Snake Robot for Constrained Environments [1]

ミシガン州立大学らの研究チームが、進行波の動きを利用して、パイプラインなどの複雑で制約のある環境で移動する、新しい空気圧式ソフトヘビロボットを提案し、その研究成果をIEEE Robotics and Automation Lettersに寄稿しています。

ロボットはモジュール式であり、4つの空気チャネルを使用した独自の空気圧システム設計を採用しています。ロボットは3Dプリントされているため、低コストで簡単に構築できる点が特徴だそうです。各モジュールの曲げ挙動の有限要素モデリングはANSYSで行われ、6つのモジュールで構成されるロボットの動的動作は、SOFAでさらにモデル化されています。特に、ロボットの移動速度は、圧力とともに増加し、摩擦係数とともに減少することがわかっており、通常の物理モデルと同じです。

ヘビ型ロボットのプロトタイプに関する広範な実験結果は、モデル予測とよく一致しており、さまざまな直径のパイプ内を移動したり、鋭い曲がり角などの困難な形状を含む、制約されたパイプライン環境で移動する機能も示しています。

[1] : Qi, X., Shi, H., Pinto, T., & Tan, X. (2020). A Novel Pneumatic Soft Snake Robot Using Traveling-Wave Locomotion in Constrained Environments. IEEE Robotics and Automation Letters5(2), 1610-1617.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/8972407

ナノインプリントを用いて開発した圧電性強化型マイクロピラー構造を持つセンサーアレイ

Figure 1. フレキシブルセンサーのファブリケーションプロセスと構造図 [1]
(論文[1]のFigure1より引用)

人間とロボットの相互作用と電子スキンの継続的な革命により、優れた機械的柔軟性、高感度、力の分布を検出するための分散ピクセルの可用性など、触覚センサーに対する新しい要件が生まれました。

中国の西安交通大学らの研究チームが、圧電性が強化された垂直に配置されたP(VDF-TrFE)マイクロピラーに基づく高感度の柔軟なセンサーアレイを、動的な触覚センシング用に開発、その成果がAdvanced materials technologiesに寄稿されています。

コアの圧電センシングマイクロピラーは、ナノインプリンティング技術を使用して製造され、一対の交差電極アレイの間に挟まれて、多重化センサーアレイを構築しています。
構造設計とナノインプリンティング手法により、センサーピクセルは均一な出力生成、堅牢な出力安定性、およびスケーラブルな製造能力を発揮するそうで、平面フィルムと比較して圧電マイクロピラーの高い圧縮率と強化された歪みを利用して、微細構造センサーは228.2 mV N-1の強化された感度と、負荷に対する非常に線形な応答を示します。

柔軟なセンサーを信号処理回路と統合することにより、完全な触覚センシングシステムが開発できるとしており、センサーアレイの優れた柔軟性と安定性により、センサーアレイを曲面に取り付け、リアルタイムでデータ取得を行うことができる、としています。

[1] : Chen, X., Shao, J., Tian, H., Li, X., Wang, C., Luo, Y., & Li, S. (2020). Scalable Imprinting of Flexible Multiplexed Sensor Arrays with Distributed Piezoelectricity‐Enhanced Micropillars for Dynamic Tactile Sensing. Advanced Materials Technologies, 2000046.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/admt.202000046

自律動作する化学ロボットが実証実験に成功した研究事例

Your new lab partner: A mobile robot chemist [1]

リバプール大学らの研究チームが、水から水素を生成するための光触媒を検索する実験を、ロボットを使用して行い、結果8日間自律的に動作、10変数の実験空間内で688の実験を実行したと報告し、その研究成果がNatureに寄稿されています。

ロボット自体は、ビジョンシステムではなく、レーザースキャンとタッチフィードバックを使用しており、最大21.6時間動作するそうで、人間との共同作業の安全基準を満たしているとしています。

このロボットによる自律的な探索により、最初の配合の6倍活性な光触媒混合物が特定され、有益な成分が選択されたとしており、このモジュール式のアプローチは、光触媒を超えたさまざまな研究問題のために、従来のラボに展開できるとしています。

[1] : Burger, B., Maffettone, P. M., Gusev, V. V., Aitchison, C. M., Bai, Y., Wang, X., … & Rankin, N. (2020). A mobile robotic chemist. Nature583(7815), 237-241.

URL : https://www.nature.com/articles/s41586-020-2442-2

可塑化と折り紙構造で実現した制御線を備えた六面体LEDアレイ

Figure 1. 六面体LEDアレイを開発するための製造手順の写真と概略図
(論文[1]のFigure 1より引用)

フレキシブルエレクトロニクスの折り紙・切り紙は、よく開発されたシリコンベースの技術を平面回路のレイアウトに利用できるため、3Dエレクトロニクスの生産に有望な方法として知られていますが、行と列の制御線を可能にして、アドレス指定可能な3次元感覚・表示システムを開発することは、まだ課題があります。

光州科学技術院らの研究チームは、3次元化を可能にするため、ポリジメチルシロキサン(PDMS)マイクロ流体チャネルを介してN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)でアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)フィルムの選択的な可塑化を介して、回路の3次元化に成功し、その成果をAdvanced materials technologiesに寄稿しています。

作成方法は論文中に記載があるように、酸化ゲルマニウム層でコーティングされたガラス基板上に作成されたコンタクトパッド(PI / Au / Cr / PI)を備えた金属線を、水溶性テープに転写、ABSフィルムでラミネートし、銀ペーストを使用してLEDをマウント、その後PDMSマイクロ流体チャネル作成、可塑化後、LEDを備えた金属ラインが変形可能になるそうです。

マイクロ流体チャネルを使用することで、高解像度の選択的可塑化が可能となり、極端な場合には局部的に曲がったり、内側や外側に折れたりすることも可能となり、クラックが発生しないタッキングベースの折り紙が可能となったそうです。

膜型電子デバイスをABSフィルムにラミネートした後、選択的可塑化と変換を行うことで、一般的な行と列の制御線を持つ六面体発光ダイオード(LED)アレイのデモンストレーションのように、電子機器レベルでの破壊のないタッキングベースの折り紙が可能になるとしています。

[1] : Kim, G. G., Kim, Y., Yoo, S., Jang, H. S., & Ko, H. C. Hexahedral LED Arrays with Row and Column Control Lines Formed by Selective Liquid‐Phase Plasticization and Nondisruptive Tucking‐Based Origami. Advanced Materials Technologies, 2000010.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/admt.202000010

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