2019年にNew Orleansで開催されたACM Symposium on User Interface Software and Technology(UIST)のBest paper awardに輝いた論文です。
本論文では、単一のマテリアルのみから作成される再プログラム可能なマルチカラーテクスチャを作成する方法を提案しています。特定の波長の光にさらされたときに外観を透明から着色に切り替えることができるフォトクロミックインクの使用に基づいており、シアン、マゼンタ、イエロー(CMY)フォトクロミック色素を単一の溶液に混ぜ、各色素の異なる吸収スペクトルを活用することにより、溶液の各カラーチャネルを個別に制御できる、と報告しています。応用範囲は広く、アクセサリーをその日の気分で変えたり、同じ日の色々なシチュエーションに合わせたカラーを選定するなど、実際のユーザーの生活に即した形で、任意に色を変えられる所が、本研究の面白い部分となっています。
論文中で、マテリアルの混合手順、光源の変更、および各カラーチャンネルを制御するアルゴリズムについて説明しており、実験の結果を示してくれているため、読者には非常にわかりやすい論文となっています。
詳細な内容には触れませんが、各色でどの時間程度で消失するかなど、非アクティブまでの時間が異なっており、このあたりは考察や材料変更が必要の可能性はあるかもしれません。
ただ、適用可能なアプリケーション例を豊富に紹介してくれており、実社会に実装できうる部分に近い研究内容になっています。
[1] : Jin, Y., Qamar, I., Wessely, M., Adhikari, A., Bulovic, K., Punpongsanon, P., & Mueller, S. (2019, October). Photo-Chromeleon: Re-Programmable Multi-Color Textures Using Photochromic Dyes. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 701-712). ACM.