紙ベースのマイクロ流体デバイスに関するレビュー論文

p-CMFとp-DMFから構成されるプログラム可能なマイクロ流体の模式図
(文献[1]のFigure 1より引用)

最近の先進的な紙ベースのマイクロ流体デバイスは、手頃な価格のポータブルデバイスをポイントオブケアテスト(POCT)に使用することにより、バイオマーカーの検出のための代替技術を提供します。
プログラム可能な紙ベースのマイクロ流体デバイスは、流体サンプルを操作するためのより良い制御を提供するため、シングルおよびマルチステップアッセイの高感度および自動化による幅広いバイオマーカー検出を可能にします。

本レビュー論文では、バイオマーカー検出のための、プログラム可能なマイクロフルイディクス、すなわち紙ベースの連続フローマイクロフルイディック(p-CMF)デバイスと紙ベースのデジタルマイクロフルイディクス(p-DMF)デバイスの進歩を調べています。
まず、これら2種類の紙ベースのマイクロ流体デバイスの製造に使用される方法と、流体供給のプログラミングおよび液滴操作の戦略について説明し、次に、バイオマーカーのシングルおよびマルチステップ検出のためのこれらのプログラム可能な紙ベースのデバイスの使用について説明しています。
最後に、バイオマーカー検出のための紙ベースのマイクロフルイディクスの現在の制限とその開発の見通しを示しています。

本Review論文は流体デバイスに関する最近の動向を俯瞰するのに適しており、現代のデバイス技術の進化速度が速く、近い将来、幅広い患者の疾患におけるスクリーニング用途などに使用される可能性が極めて高いことを感じさせます。

同時に、紙ベースの技術活用であり、1度使用したら破棄できるという利点を最大限に活かすためにはコストダウンが必要ではありますが、その用途の幅広さ、汎用性の高さから、研究開発がさらに進む可能性を示唆しています。

[1] : Soum, V., Park, S., Brilian, A. I., Kwon, O. S., & Shin, K. (2019). Programmable Paper-Based Microfluidic Devices for Biomarker Detections. Micromachines10(8), 516.

URL : https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31382502