身につけるだけで3次元の複雑な変形状態を測定可能な伸縮性のデバイス技術

Deformation Capture via Soft and Stretchable Sensor Arrays

ETHらのグループはACM Transactions on Graphicsにて、伸縮する中空構造のエラストマーセンサを、サポータのように身につけるだけで3次元の形状変化状態を取得する手法を提案しました。

このセンシングデバイスはPDMSなどの伸縮性の材料上にカーボンとシリコーン材料を混ぜ合わせた伸縮性の電極材料を両面にパターニングすることによって構成されています。

このような構造のシートは電極が重なった部分が静電容量センサとして働きます。このセンサは伸びることで電極の面積が大きくなり、厚みが薄くなるため変形状態を静電容量の変化として捉えることができます。

この技術はStretchSense社, ElastiSense社, バンドー化学株式会社といった企業でもいわゆるストレッチセンサとして用いられています。

今回の研究では非常に簡単なセットアップでこれらのデバイスを構成しています。PDMSシートをバーコーティングで作った後に前面に同様に伸縮性電極を塗布した後にレーザーカッターで適切な出力で照射することでパターンを作ることに成功しています。(このテクニック自体は昔から知られているものです。)

今回の研究ではこのセンサの信号を適切に処理することでマーカーとカメラシステムに近い精度で三次元の変形を捉えられることを示しています。またカメラのシステムとは異なり、マーカーなどが外部に露出していなくても測れるといったことが利点となっています。

信号処理もリアルタイムで3次元形状の変化を描画することに成功しており、ヘルスケアやスポーツ科学といった様々な領域で応用が期待できそうです。

[1]Glauser, O., Panozzo, D., Hilliges, O., & Sorkine-Hornung, O. (2019). Deformation capture via soft and stretchable sensor arrays. ACM Transactions on Graphics (TOG)38(2), 16.

URL:https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3311972