潜水ロボットは、捜索救助、環境監視、および防衛アプリケーションでますます使用が増えています。誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)で作られた人工筋肉は、その高いエネルギー密度、軽量、効率に基づいて、水中ロボットを駆動するための魅力的な選択肢の1つになることが期待されています。
ただし、DEAの課題の1つとして、デバイスのパターン化、不透明化、および/または剛性の追加が困難な材料で作られた導電性電極が必要なことだそうです。多くのDEAは事前にストレッチされたエラストマー膜に基づいており、事前ひずみを維持するために剛性または半剛性のフレームが必要であることも課題として挙げられています。
UCサンディエゴらの研究チームは、水電極の1つとして液体で満たされた内部チャンバーと、2番目の電極として周囲の環境液体を使用する、フレームレスの水中DEA設計の使用を研究し、その成果をScience Roboticsに寄稿しています。提案している方法により、代替のアプローチと比較して人工筋肉の設計が簡単になり、水中ロボット用の軽量かつ柔らかく透明なアクチュエータを作成できるそうです。
論文中にも記載があるように、幼うなぎにインスパイアされたプロトタイプの水泳ロボットで、このアプローチの実現可能性を実証しました。同時に、ロボットの本体を介したカモフラージュとディスプレイの機能を実証しました。これは、可視スペクトル全体で平均94%の透過率を持っており、静かで半透明の水泳ソフトロボットの人工筋肉として機能するDEAの可能性を示唆しています。
誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)は、ロボット工学、人工筋肉、マイクロフルイディクスなど、さまざまな新しい用途に有望な実現技術です。これは、他のアクチュエータと比較した場合、大きな作動ひずみ、高速応答率、低コストと低ノイズ、高エネルギー密度、高効率によるものだそうです。
[1] : Christianson, C., Goldberg, N. N., Deheyn, D. D., Cai, S., & Tolley, M. T. (2018). Translucent soft robots driven by frameless fluid electrode dielectric elastomer actuators. Science Robotics, 3(17), eaat1893.URL : https://robotics.sciencemag.org/content/3/17/eaat1893/tab-pdf