ユーザーエクスペリエンスを開発早期に評価する手法

Triptech : A Method for Evaluating Early Design Concepts

ユーザーエクスペリエンス(UX)の測定は設計プロセスの重要な部分ですが、製品開発の初期段階でUXを評価する方法はほとんどありません。
本論文では、Triptechという手法を紹介しています。Triptechは、斬新な製品のアイデアをすばやく探求する方法であり、ユーザーニーズの頻度と重要性の評価、デザインコンセプトの望ましさや有用性の評価を行える手法だそうです。論文中で、Pixel 2のデバイス上の音楽認識システムであるNow PlayingのUX要件の草案にどのように使用されたかを示してくれています。

Triptechは、調査、ストーリーボード、SD、フォーカスグループなどの既存の研究方法論を利用して、製品イノベーションプロセスの概念段階でフィードバックを収集するために使用されるUX評価方法であり、さまざまな設定や対象者のニーズに適応でき、製品開発の初期段階でチームがUX評価を実施するのに役立ったと報告しています。
また、現在までに、12のGoogleプロジェクトで100を超えるニーズを評価するために使用されており、その調査は35,000人以上の回答者に届き、Triptechのフォーカスグループは米国、英国、およびインドで実施されたとのこと。
デザイン思考やアプリケーションのUXを検討する際に、有効な手法かもしれないので、興味がある方は論文に目を通すと良いかもしれません。

最後になりましたが、本論文は2019年のCHI Conference(the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems)で報告されています。

[1] : Seguin, J. A., Scharff, A., & Pedersen, K. (2019, April). Triptech: A Method for Evaluating Early Design Concepts. In Extended Abstracts of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (p. CS24). ACM.

URL : https://dl.acm.org/authorize.cfm?key=N670321

ホワイトサイズ研の研究チームが発表した柔らかい材料を使用したソフトオシレーター

ソフト材料を用いたオシレータ [1]
(動画より抜粋)

ジョージ・M・ホワイトサイズ研究所の研究チームは、ロボットを構築するために必要な最後のハード部品のソフト交換部品を発明し、その研究成果をScience Roboticsに寄稿しました。
電気とワイヤーの代わりに、加圧空気がゴム製インフレータブルを伸縮させて動きを作り出し、ソフトバルブがハード部分を引き継ぎ、ソフトデジタルロジックがコンピューターと同じ機能をするそうです。

複数のソフトな空気圧アクチュエータの定期的な作動には、複数の別個のコンポーネントの協調機能が必要です。
本研究は、ハードバルブや電子制御なしで、単一の定圧源を使用して、ソフトアクチュエーターで一時的に調整された周期運動を誘発するソフトな空気圧リング発振器を示しています。
このリング発振器の基本単位は、エラストマー構造の2つの不安定性を使用して2つの状態(「オン」と「オフ」)を切り替えるソフト空気圧インバーターです。

論文中ではこのソフトリング発振器を利用した、回転するソフトロボットも紹介しており、これらの振動出力圧力は、ソフトロボットの波状運動と回転運動、サイズに基づく粒子分離、空気圧機械療法、および流体の計量など、いくつかのアプリケーションを可能にします。ソフトリングオシレーターは、これらのアプリケーションでのハードバルブと電子制御の必要性を排除する、と主張しています。

[1] : https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/hu-srf062119.php

[2] : Preston, D. J., Jiang, H. J., Sanchez, V., Rothemund, P., Rawson, J., Nemitz, M. P., … & Whitesides, G. M. (2019). A soft ring oscillator. Science Robotics4(31), eaaw5496.

URL : https://robotics.sciencemag.org/content/4/31/eaaw5496

ヤモリにヒントを得た接着剤を使ったソフトロボットグリッパー

Soft robotic gripper with gecko inspired adhesives

単純な制御入力を使用したソフトロボットグリッパーの汎用性を実証している研究が多く報告されています。ソフトマテリアルを使用したグリッパーは、工場、医療などの分野での適用が期待されているからです。しかし、これらのグリッパーは、大きな物体を高強度に掴むことに対しては、未だ課題に直面しています。

本論文では、既存のソフトグリッパーの特性を強化し、新しい機能を生成するために、流体エラストマーアクチュエーターとヤモリにヒントを得た接着剤の組み合わせを研究した結果を報告しています。
粘着力が制限されている岩石または汚れた表面では、グリッパーは空気圧で作動するエラストマーグリッパーの機能を保持し、性能の低下は測定されません。ヤモリにヒントを得た接着剤のユニークな特性を使用するための設計戦略が提示されます。
流体エラストマーアクチュエータを、関連する関節トルクを持つ一連の関節としてモデル化することにより、ヤモリにヒントを得た接着剤のユニークな特性を活用するアクチュエータを設計しました。実験では、他のアクチュエータと比較して、より低い圧力でより高い強度が示されたと主張しています。

エネルギー入力を減らし、グリップ強度を高めることで、ソフトロボットの使用を産業オートメーションやその他のアプリケーションに拡大することができます。他のソフトアクチュエータに対しても同じような思想の機構が適用されるかもしれません。

[1] : Glick, P., Suresh, S. A., Ruffatto, D., Cutkosky, M., Tolley, M. T., & Parness, A. (2018). A soft robotic gripper with gecko-inspired adhesive. IEEE Robotics and Automation Letters3(2), 903-910.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/8255549

何度だって成功することはできる:バラバーシ・アルベルト・ラースロー

The real relationship between your age and your chance of success [1]

成功はいつでも起こり得る
Success can come at any time.

出典 : The real relationship between your age and your chance of success

どうやれば成功するか、どのキャリアを選べば自分は名誉と富を得て、幸せな生活を送ることができるのか、そういった悩みを抱えている人は、非常に多いと思います。

インターネットから細胞内化学反応まで、複雑なネットワークに共通して見られるつながりの構造を発見した理論物理学者であるバラバーシ・アルベルト・ラースロー (Barabási Albert László) [2]は、専門分野に関係なく、成功するための隠れたメカニズムを探り、年齢と成功を大きくするチャンスとの興味深い関係を、本動画で語っています。

この動画内でもバラバーシ氏が語っていますが、成功とはコミュニティが与える尺度だと定義したときから定量的指標になったとコメントしていたり、成功には観察者バイアスも存在する、など非常に興味深い洞察がされているので、ぜひ動画をご確認いただければと思います。

どの年齢から何を始めても遅くない、そう信じることができる科学的根拠が記されています。

[1] : https://www.ted.com/talks/albert_laszlo_barabasi_the_real_relationship_between_your_age_and_your_chance_of_success#t-964410

[2] : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC

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