銀ナノワイヤーを用いたテキスタイルベースの歪みセンサの開発

Figure 1. 銀ナノワイヤーの調整とテキスタイルの歪みセンサー [1]
(論文[1]のFigure1より引用)

ウェアラブルひずみセンサーは、人間の動きの検出、電子皮膚、人間とコンピューターの相互作用などのアプリケーションでの無限の見通しのため、多くの関心を集めています。
ただし、一般に複雑な製造方法は、広い検出範囲と高感度を備えたひずみセンサーの製造に使用されます。

武漢大学の研究チームが、高性能テキスタイルベースのひずみセンサー(TSS)を、銀ナノワイヤインクを伸縮性のあるテキスタイルに転写することにより、ワンステップスクリーン印刷法によって製造できる方法を開発し、その研究成果をAdvanced Materials Technologiesに寄稿しました。
さまざまなパターンのスクリーンプレートを設計することで、異なる検出範囲と感度を備えた最適化されたTSSを同時に実現できるそうで、中でも、直線構造のTSS(幅2mm)は、120%の広い実行可能な歪み範囲、216の高いゲージ率、および優れた耐久性(2000以上の伸縮サイクル)を示し多そうですます。

柔軟なウェアラブルデバイスとして、これらのTSSは人間の関節の動きを監視するために使用され、人間の健康検出、ソフトロボット、インテリジェントデバイスなどのさまざまなアプリケーションに使用できることを想定している、と論文内で報告しています。

[1] : Luo, C., Tian, B., Liu, Q., Feng, Y., & Wu, W. One‐Step‐Printed, Highly Sensitive, Textile‐Based, Tunable Performance Strain Sensors for Human Motion Detection. Advanced Materials Technologies, 1900925.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/admt.201900925

人間の動作認識のためのウェアラブルひずみセンサーの開発

Figure 1. デュアルモード歪みセンサーの構造図、rGO/PDMSそれぞれのSEM画像 [1]
(論文[1]のFigure 2より引用)

近年、予防医療などの分野の開発が盛んになっており、特に健康をモニターする機会が増えています。健康管理のシステムでは、人間の微妙な動きと大きな動きの両方を検出するため、高感度で幅広い検出範囲を備えたウェアラブルひずみセンサーが非常に望ましい、と言われています。

中国の東南大学の研究チームが、マイクロパターニングエラストマーのコロイド結晶膜に付着した還元グラフェン酸化物(rGO)/ ポリジメチルシロキサン(PDMS)膜に基づく新しいデュアルモードひずみセンサーを提案し、その研究成果をAdvanced Materials Technologiesに寄稿しています。

rGO / PDMSフィルムは、抵抗変化によって微妙な人間の動きを検出するように設計されていますが、コロイド結晶フィルムは、単純な比色変化または反射ピークシフトによって大きな人間の動きを検出するために使用され、同時に、グラフェンフィルムの微細構造基板として、感度を改善するそうです。
検出能力を調べると、コロイド結晶フィルムは68.2%の歪みまでの広い検出範囲を示し、rGO / PDMSフィルムは30%の歪み内で4.78の高い歪みゲージ値を示し、迅速な応答時間と優れた可逆性を示すそうです。

このような優れた性能は、さまざまな大きな人間の関節の動きと微妙な人間の生理学的動きを検出するためのデュアルモードセンサーを提供すると主張しており、人間の動きを検出するための高性能な歪みセンサーの設計と製造に関する新しい洞察を提供することで、人間の動きの認識とヘルスケアの監視に応用できる可能性がある、と締めくくっています。

[1] : Xu, H., Zhang, M. K., Lu, Y. F., Li, J. J., Ge, S. J., & Gu, Z. Z. Dual‐Mode Wearable Strain Sensor Based on Graphene/Colloidal Crystal Films for Simultaneously Detection of Subtle and Large Human Motions. Advanced Materials Technologies, 1901056.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/admt.201901056

UCサンディエゴらが開発したクラゲを模擬したDEAによって駆動されるソフトロボット

FIGURE 1 | Working principle and fluorescence image of the jellyfish-inspired robot.
Figure 1. クラゲを模擬したソフトロボットの動作原理と蛍光発色画像 [1]
(論文[1]のFigure 1より引用)

水中探査用のロボットは通常、硬い材料で構成されており、かなりの量の電力を消費するプロペラまたはジェットスラスタによって駆動されます。消費電力が大きいと、かなりのバッテリーが必要になり、小型ロボットを設計する能力が制限されます。プロペラとジェットスラスタはかなりの騒音と振動を発生させるため、音響信号などの研究には逆効果です。

UCサンディエゴらの研究チームが、クラゲを想起させるバイオインスパイアードロボットを開発し、その研究成果をFrontiers in Robotics and AIに寄稿しています。
バイオインスパイアードソフトロボットは、様々な環境に適合できるため、自然に対しても適合できる材料で構成され、多くの困難な環境に対応した水中探査のアプローチを提供できます。
以前の研究で、フレームレスDEAが流体電極を使用してフィルムに電圧を印加できること、およびウナギに触発されたロボットの効果的な移動が剛性フレームを必要とせずに達成できることを実証していましたが、推進力を得るために、電源と制御信号を必要としたのが課題だったそうです。

今回の研究では、DEAを搭載したテザーなしのソフトスイミングロボットを開発するために、クラゲからインスピレーションを得て、フレームレスDEAのリングを非拡張層に取り付け、パッシブサイドに向かって湾曲してパワーストロークを生成し、元の構成を効率的に回復するユニモルフ構造を生成した、と報告しています。
この戦略により、制御システムが簡素化され、平均速度3.2 mm / sで自由に泳ぐことができるソフトロボットを開発できた、と報告しています。
このソフトロボットは、水中環境での静かな操作、例えば生態系の調査などに用いるためのロボットとして、低電力用の流体電極でDEAを使用する可能性を示してくれています。

[1] : Christianson, C., Bayag, C., Li, G., Jadhav, S., Giri, A., Agba, C., … & Tolley, M. T. (2019). Jellyfish-Inspired Soft Robot Driven by Fluid Electrode Dielectric Organic Robotic Actuators. Frontiers in Robotics and AI6, 126.

URL : https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/frobt.2019.00126/full

PEDOT : PSSを用いた導電性アクチュエータに関するレビュー論文

「PEDOT-based conducting polymer actuators」の画像検索結果
Figure 1. 環境水分の収着/脱着に基づいたPEDOT / PDMSアクチュエータの動作原理の模式図 [1]
(論文[1]のFigure 2より引用)

導電性ポリマー、特にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)およびそのポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)との複合体は、ソフトアクチュエータまたは人工筋肉を開発するための有望な材料プラットフォームを提供します。

これまでPEDOT:PSSに関しては多くの研究報告実績があり、特にPEDOTベースのアクチュエータは、バイオニクス、生物医学、スマートテキスタイル、マイクロアクチュエータ、およびその他の機能アプリケーションの分野で利用できると報告事例が多数あります。
他の導電性ポリマーと比較して、PEDOTは高い導電性と化学的安定性、低い密度と動作電圧を提供し、PSSとPEDOTの分散により、溶解性、親水性、加工性、柔軟性の性能がさらに向上し、アクチュエータベースのアプリケーションで有利になります。
しかし、PEDOTベースの材料で製造されたアクチュエータはまだ初期段階にあり、現在および将来の開発のために、より包括的な理解を必要とする多くの未知の要素や課題があります。

江西科技師範大学の研究チームがPEDOT : PSSに関する本レビュー論文を執筆しており、その主目的として、作動メカニズム、性能評価基準、処理技術と構成、および材料開発とアプリケーションの最新の進歩を包括的に理解することとしています。最後に、PEDOTベースのアクチュエータを改善および活用するための将来の機会についても詳しく説明しています。

[1] : Hu, F., Xue, Y., Xu, J., & Lu, B. (2019). PEDOT-based conducting polymer actuators. Frontiers in Robotics and AI6, 114.

URL : https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/frobt.2019.00114/full

1 35 36 37 38 39 40 41 86