パラメトリックバイアスを使用したRNNを用いた筋骨格手のセンサー状態方程式を取得する方法

Object Recognition, Dynamic Contact Simulation, Detection, and Control of Flexible Hand [1]

柔軟な筋骨格の手はモデル化が難しく、そのモデルは時間の経過による劣化、初期化の再現性の欠如などにより絶えず変化する可能性があります。
また、手による物体認識、接触検出、接触制御には、タスクごとにトレーニングされたニューラルネットワークを使用せず、1つの統合ネットワークのみを使用することが望ましいとされています。

東京大学とトヨタ自動車の研究チームが、パラメトリックバイアスを使用したリカレントニューラルネットワークを使用して、筋骨格手のセンサの状態方程式を取得する方法を開発、その研究成果を2020年度のIROS会議にて報告しています。

開発したこのネットワークを利用することで、手は把持物の認識、接触シミュレーション、検出、制御を実現し、パラメトリックバイアスを更新することで経年劣化や初期化の再現性などに対応できるとしています。

具体的には、手はパラメトリックバイアスの違いによって把持された物体を認識できるため、その接触状態はネットワークの転送によってシミュレートできます。
また、手はネットワークの予測誤差を利用して接触検出を行うことができ、制御入力へのバックプロパゲーションにより現在のセンサー状態を目標値に近づけることで接触制御を行うことができるとしています。
この研究を筋骨格ヒューマノイドの手に適用し、その有効性を示しています。

[1] : Kawaharazuka, K., Tsuzuki, K., Onitsuka, M., Asano, Y., Okada, K., Kawasaki, K., & Inaba, M. (2020). Object recognition, dynamic contact simulation, detection, and control of the flexible musculoskeletal hand using a recurrent neural network with parametric bias. IEEE Robotics and Automation Letters5(3), 4580-4587.

URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/9117018

MR環境で触覚フィードバックが可能な折りたたみ式ハプティクスデバイス

Touch&Fold: A Foldable Haptic Actuator for Rendering Touch in Mixed Reality [1]

シカゴ大の研究チームが、ユーザーが仮想オブジェクトに触れたときにユーザーの指腹を押すことにより、複合現実(MR)環境に触覚フィードバックを提供する爪に取り付けられた折りたたみ式触覚デバイスを提案、その成果を2021年度のCHI会議に寄稿しています。

提案されたデバイスの斬新な点は、ユーザーが実際のオブジェクトを操作するとすぐに隠れてしまうことで、その設計により、使用していないときはユーザーの爪の上に折りたたむことができ、ユーザーの指先を自由に保つことができるそうです。
MR中にハンドヘルドツールやその他のオブジェクトを操作するために、24×24×41 mm、重さ9.5gのワイヤレスの自己完結型ハプティックデバイスを設計、この折りたたみ式エンドエフェクターは線形共振アクチュエーターも備えており、タッチコンタクト(つまり圧力)だけでなく、テクスチャー(つまり振動)もレンダリングできるそうです。

デバイスがMRサーフェス、ボタン、低周波数および高周波数のテクスチャとの接触をどのようにレンダリングするかを論文中に示しており、実施されたユーザー調査では、参加者は、私たちのデバイスが、指の腹を自由にした(つまり、指の爪の振動)以前の触覚デバイスよりも現実的であると感じていることがわかったそうです。また、追加で実施されたユーザー調査では、物理的なオブジェクトを含む実際のタスクでデバイスを使用しているときの参加者の体験を調査し、今回制作されたデバイスでは、参加者が同じ指を使ってハンドヘルドツールや小さなオブジェクトを操作し、MRインターフェースに触れたときに触覚フィードバックを感じながら、器用さをあまり損なうことなくテクスチャや液体を感じることができることがわかったとしています。

[1] : Teng, S. Y., Li, P., Nith, R., Fonseca, J., & Lopes, P. (2021, May). Touch&Fold: A Foldable Haptic Actuator for Rendering Touch in Mixed Reality. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-14).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411764.3445099

snowflakes : コンピュテーショナルなジュエリーのプロトタイプツール

Snowflakes: A Prototyping Tool for Computational Jewelry [1]

スマートジュエリーのデザインには、快適さ、人間工学、ファッショナブルさ、双方向性、機能性などの多くのレイヤーがあり、複雑なデザインプロセスを作成するため、フォームの探索が困難になります。

タンペレ大学らの研究チームが、非スマートジュエリーの検討から抽出した7つのデザインパラメータ(手足、素材、グリップ、ファスナー、装飾、配置、フォルム)から着想を得たスノーフレークのデザインプロセスおよび実装された3つのアプリと設計概念についても報告、その成果を2021年度のCHI会議に寄稿しています。

スマートジュエリー制作のデザイン課題を克服するために、さまざまなウェアラブルプロトタイピングツールが開発されてきていますが、通常はテキスタイルベースであり、スマートジュエリーのデザインを対象としていないものが多いとしています。
このギャップを埋めるために、1)デザイナーがさまざまなジュエリーの形を探求できるようにする、2)革などの外部素材を組み込む、3)柔軟なコネクタで体の部分にフィットするフォームファクタを作成することで、既存のツールとは異なるスノーフレークを開発したとしています。

Snowflakesを使えば、スマートジュエリーの視覚的表現、相互作用のモダリティ、従来の素材と計算素材の融合という点で、ウェアラブルコミュニティに貢献するとしています。

[1] : Buruk, O. O., Genç, Ç., Yıldırım, İ. O., Onbaşlı, M. C., & Özcan, O. (2021, May). Snowflakes: A Prototyping Tool for Computational Jewelry. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-15).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3411764.3445173

BodyStylus : 身体上に直接ボディーアートを描けるインタラクティブな設計フロー

BodyStylus: Freehand On-Skin Design and Fabrication of Epidermal Interfaces [1]

伝統的なボディーアートでは、デザインは身体に合わせて調整され、創造的なアート制作ができる一方で、一般には、インターフェイスの従来の設計および製造方法は、ステップを分けて実施されています。

ドイツのザールランド大らの研究チームが、身体上で直接デザインと表皮インターフェイスの製造するコンピュテーショナルなワークフローアプローチ:BodyStylusを提案、2021年度のCHI会議に寄稿しています。

伝統的な手法に触発され、デジタルでサポートするフリーハンドで描くことができるハンドヘルドのツールを提案しており、設計しやすいように描く軌跡が身体上に投影され、人体の見た目に沿った有効なオンボディの回路形成を支援し、インクとインクを切り替えられるようにしている、とのことです。

これまで、表皮デバイスの設計および製造プロセスは間接的で、人体の景観から切り離されていました。 BodyStylus を使用して、この制限を克服し、ハンドヘルド製造ツールと自己焼結導電性インクを使用して、体に直接表皮デバイスを設計および作成できる、新しいインタラクティブなアプローチを提示したとしています。

4 つの具体的なアプリケーション ケースを使用して、このアプローチが、エレクトロニクスのバックグラウンドを持つステージメイクアップアーティストやエンジニアに好意的に受け入れられ、設計と製造プロセスをコンピューターやワークベンチから身体に移し、より直接的かつ迅速に行うことに成功したことを示していると締めくくっています。

[1] : Pourjafarian, N., Koelle, M., Fruchard, B., Mavali, S., Klamka, K., Groeger, D., … & Steimle, J. (2021, May). BodyStylus: Freehand On-Body Design and Fabrication of Epidermal Interfaces. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-15).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411764.3445475

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