形状記憶アクチュエータは、ロボットから医療用インプラントに至るまでの機械が、継続的な電力なしでその形状を保持できるようにします。これは、これらのデバイスが束縛されておらず、電力が制限されている状況で特に有利な機能です。以前の研究では、ポリマー、合金、セラミックを使用した形状記憶アクチュエータが実証されていますが、マイクロメートルスケールの電気形状記憶アクチュエータ、特に標準的な電子機器(〜1ボルト)で駆動できるアクチュエータの必要性はほとんど満たされていないままです。
コーネル大らの研究チームが、新しい高速、高曲率、低電圧、再構成可能、マイクロメートルスケールの形状記憶アクチュエータを開発、その成果をScience Roboticsに寄稿しています。
それらのアクチュエータは白金表面の電気化学的酸化/還元によって機能し、酸化層にひずみを生じさせて曲げを引き起こします。また、電気的に制御されるマイクロアクチュエータの最小曲率半径(〜500ナノメートル)に曲がり、高速(<100ミリ秒の動作)で、水の電気化学的ウィンドウ内で動作し、酸素発生に関連する気泡の生成を回避するそうです。論文中では、これらの形状記憶アクチュエータを使用して、作動面、折り紙ベースの3次元形状、モーフィングメタマテリアル、機械的記憶要素など、電気的に再構成可能な基本的なマイクロスケールロボット要素を作成できることを示しています。
形状記憶アクチュエータは、適応型マイクロスケール構造、生体植込み型デバイス、および顕微鏡ロボットの実現を可能にする可能性を秘めているとしています。
[1] : Liu, Q., Wang, W., Reynolds, M. F., Cao, M. C., Miskin, M. Z., Arias, T. A., … & Cohen, I. (2021). Micrometer-sized electrically programmable shape-memory actuators for low-power microrobotics. Science Robotics, 6(52).URL : https://robotics.sciencemag.org/content/6/52/eabe6663