VRを用いた人間アクチュエータの正体とは

Mutual Human Actuation (UIST 2017)

本研究は2017年度のACM Symposium on User Interface Software and Technology会議、通称UISTに寄稿されたものです。

論文の背景となるVR(Virtual Reality)は仮想現実と呼ばれ、ユーザの五感を含む感覚を刺激することにより、仮想的に作り出した世界を用いて人間を錯覚させる技術の一つです。
このVRの世界を利用したHuman Actuationは、人々を使用してユーザーに大規模な力のフィードバックを提供するという考え方です。ただ、この考え方だと、ユーザーとして参加した場合、これらの人々が持つことができた経験よりも没入感が少ないそうです。

本論文では、仮想空間上では人間には見えていないが、そのフィードバックをする力、つまりアクチュエータを人間で置き換え、相互に人間の力を使って体験を拡張する、という新しい手法を紹介しています。
この時の重要な考え方は、ユーザーのペアを同時に体験させ、それらが互いに人間の作動を提供するようにすることです。本論文で提案しているシステム、Mutual Turkは、反対側に人間がいるという事実を曖昧にしながらユーザーが力を交換できる共有小道具を提供し、2人のユーザーのタイムラインを同期して、共有小道具の操作は、両方の仮想世界で一貫しています。
動画の中で、釣りをする人と釣竿になったり、移動中の乗り物に乗るユーザーをもう一人のユーザーが操縦する、といった例を使用して示しています。

このシステムで重要なのは時刻同期性とレイテンシーです。少しでもずれてしまうと違和感が生じてしまうことは明らかですが、動画を見る限り、違和感がない体験を演出できている、興味深いシステムです。

[1] : Cheng, L. P., Marwecki, S., & Baudisch, P. (2017, October). Mutual human actuation. In Proceedings of the 30th Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 797-805). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3126594.3126667