ユーザーが仮想境界(壁など)を通過できないようにすることは、安全性と設計上の制限を考慮して、ルームスケールでの仮想環境で対処する重要な問題です。壁の衝突からの感覚フィードバックは効果的であることが示されていますが、それは没入感を混乱させる可能性があります。
東京大学の研究チームが、存在感が大きいとユーザーが壁を歩くのを思いとどまらせると想定し、擬人化(リアルなアバターかロボット)と全身または手のみを制御する2要素間被験者実験(N = 92)を実施し、その成果を2020年度のCHI会議に寄稿しています。
論文では、参加者が徐々に壁を貫通するように仕向けたゲームのようなルームスケール規模の仮想環境で、最初に壁を貫通した瞬間を分析しています。
結果は、現実的な全身セルフアバターが、参加者が壁を貫通するのを思いとどまらせるのに最も効果的であることを示したそうです。さらに、存在感の低い参加者は、壁をより早く歩く傾向があったことも把握しています。こういった研究はルームスケールでのゲームアプリケーションの開発などに貢献できる可能性が高いと主張しています。
興味深いのは手のみでの実験結果だと思いますので、興味がある方はぜひ論文をご参照ください。
URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376562