電通大、シカゴ大の研究チームによる手の甲へのEMSによって器用さが増す研究

Increasing Electrical Muscle Stimulation’s Dexterity by means of Back of the Hand Actuation [1]

電気通信大学とシカゴ大学の研究チームが、手の甲への電気的筋肉刺激 (EMS) において前例のないレベルの器用さを可能にする手法を提案し、2021年度のCHI会議に寄稿。その成果がBest paper awardに選ばれています。

一般的にEMS は、機械式アクチュエータと比較してフォーム ファクターが小さいため、フォース フィードバックの有望な手法です。ただし、ユーザーの指を屈曲させる現在の EMS アプローチ (つまり、指の筋肉が固定される前腕の基部に電極を取り付ける) は、対象の指の中手指節 (MCP) 関節を他の指とは無関係に屈曲させることができないため、制限されます。つまり、現在の EMS デバイスは 1 本の指だけを曲げることができず、常に隣接する指に望ましくない作動を引き起こします。

そこで、器用さを解消することに取り組むため、研究チームらは、電極を手の甲に配置する新しい電極レイアウトを提案し、検証しています。電極は、EMS に関してこれまで注目されていなかった手のひらの骨間/虫様筋を刺激するそうで、論文中に記載のあるように、ユーザー調査では、既存の EMS 電極レイアウトと比較して、この手法には 4 つの重要な利点があることがわかったと報告しています

(1) MCP 関節の周りの 4 本の指すべてをより独立して曲げることが可能。 (2)他の関節(近位指節間関節など)の望ましくない屈曲が少ない。 (3) 手首の回転に対してより堅牢。 (4) 校正時間を短縮。

これらの4つの利点から、これまで利用できなかったレベルの屈曲器用さを必要とするインタラクティブな EMS システムのアプリケーションを可能にするとしています。論文中では、3 つの楽器のチュートリアル (ピアノ、ドラム、ギター) と、ヨーヨーを操作しながら個々の指にフォース フィードバックをレンダリングする VR アプリケーションの 4 つのアプリケーションの例で、改善された器用さを示します。

[1] : Takahashi, A., Brooks, J., Kajimoto, H., & Lopes, P. (2021, May). Increasing Electrical Muscle Stimulation’s Dexterity by means of Back of the Hand Actuation. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3411764.3445761