指先の感覚をリアルタイムで確認できるマイクロ顕微鏡デバイス : MagniFinger

MagniFinger: Fingertip-mounted microscope for augmenting human perception [1]

人間の指は、物体に触れるときの感覚からもわかるように、人間の最も重要な感覚を司る器官の1つです。物体に触れれば、その物体の表面の形状を感じることができ、おおよそのイメージが掴めます。
ただ、実際に物体の表面の微細な構造まで見ようとする時は、現在の技術では顕微鏡が必要です。
つまり微罪な構造に関しては、その構造を”見ながら触れる”ことは難しいのが現状です。

本研究では、指先に取り付ける顕微鏡を設計し、インターフェースとしての機能を導入しています。開発されたMagniFingerという指ベースの顕微鏡をつけることで、スライドとチルトの2つの制御手段を使用することができ、指先の接触面を拡大できます。
そのため、ユーザーは画像を見ながら自分の指を動かすことができるため、微小環境下でのより正確な動きが可能になるとのことです。 本論文に掲載されている実験の結果によると、単純なスライディングベースの制御と比較して、ターゲットに到達する時間を短縮する効果を得たそうです。

見ながら触れることは、単純に見るという視覚活動に加え、触覚活動が加わることで、視覚の情報処理に特化した脳領域である視覚野の活動パターンが変化することが過去の研究でもわかっています。[2]

こういった研究が進むことで、人間の能力を増強する可能性や、今まで見て触れることができなかったミクロな世界への焦点が当たることで、今までと違った研究が進むことを期待できそうです。

[1] : Obushi, N., Wakisaka, S., Kasahara, S., Seaborn, K., Hiyama, A., & Inami, M. (2019, March). MagniFinger: Fingertip probe microscope with direct micro movements. In Proceedings of the 10th Augmented Human International Conference 2019 (p. 32). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3311823.3311859

[2] : Goda, N., Yokoi, I., Tachibana, A., Minamimoto, T., & Komatsu, H. (2016). Crossmodal association of visual and haptic material properties of objects in the monkey ventral visual cortex. Current Biology26(7), 928-934.

URL : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982216300227