バーチャルリアリティ(VR)では、人間にHMDを被せ、よりリアルな3DCGを見せることで、擬似的に現実の世界と錯覚させ、没入感を生む体験が提案されていますが、触覚に関しては、視覚情報と物理世界をつなぐものが存在しないと作ることができません。例えばVRの世界で人間が見えていて触れようとした場合、その人間に実際に触れることができる場合とできない場合では、没入体験の度合いが異なります。
国立台湾大学の研究チームらが、バーチャルリアリティでのオブジェクトを構築するため、動的にポップアップし、かつタイルのように展開する、新しいタイプの空気圧作動インターフェイスであるTilePoPを紹介しています。
TilePoPは、特定の折りたたみ構造で設計された積み重ねられた立方体のエアバッグの2D配列で構成され、各エアバッグを物理プロキシに注入し、使用していないときに元のタイル形状に戻すことができるそうです。
TilePoPは、人間の体重もサポートできるそうで、VRでの新しい相互作用の可能性を可能にすると主張しています。
論文内では、TilePoPの設計と実装について、そのアプリケーションのデモと、TilePoPのユーザーエクスペリエンスを理解するために行われたユーザー評価の結果を含めて説明してくれています。
動画を見てもわかるようにレイテンシーが非常に大きな課題となると思いますが、このような研究が進んで、リアルタイムにハプティクスが表現できれば、VRが普及するスピードもさらに加速すると考えられます。
最後になりましたが、本論文は2019年度のUIST会議に寄稿されたものです。
[1] : Teng, S. Y., Lin, C. L., Chiang, C. H., Kuo, T. S., Chan, L., Huang, D. Y., & Chen, B. Y. (2019, October). TilePoP: Tile-type Pop-up Prop for Virtual Reality. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 639-649). ACM.URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347958