多孔質ポリマーを急速に重合反応させて作成する新しい積層造形法とは

Architected Polymer Foams via Direct Bubble Writing (Supporting Informationより引用[1])

Harvard大学のWyss InstituteとJohn A.Paulson School of Engineering and Applied Science(通称SEAS)およびSouthern Mississippi大学のSchool of Polymer Science and Engineeringの研究者チームが、高分子の多孔質体の作成方法に関する研究を発表し、2019年9月にその研究成果がAdvanced Materialに寄稿されました。

高分子における多孔質体には、発泡によってサイズを複数作ることによって、機械的、熱的性質が変化し、相の組成、体積分率、および接続性によってその物性が決まることが古くから知られています。

本研究は、微細構造と機能特性を持つポリマー発泡体を作成するための新しいプログラマブルな高スループットの積層造形法を報告しています。この論文で提唱している直接バブルライティングは、コアシェルノズルを使用して生成された液体シェルおよびガスコア液滴の混合に依存しており、バブルサイズを調整できます。
また、これらの気泡滴の殻は、UV照射を行うプロセス中に急速に重合する低粘度のモノマーで構成されているため、印刷されたポリマー発泡体は全体の形状を保持できます。気泡の液滴を生成するために使用するガス圧力を調整することにより、フォームを調整できるそうです。

また、銀ナノ粒子を組み込むことで、柔らかい圧力センサーとして使用するための、剛性を制御した導電性複合バブルフォームを製造できる、と論文中でも報告しており、論文中で紹介している導電性ポリマーだけでなく他の用途に適用できるポリマーを、オンデマンドで迅速に設計および製造するといった可能性も期待されます。

[1] : Visser, C. W., Amato, D. N., Mueller, J., & Lewis, J. A. (2019). Architected Polymer Foams via Direct Bubble Writing. Advanced materials.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201904668