流体圧力を用いて作製したピストンアーキテクチャ

ピストンは、流体力学的エネルギー変換に使用されるユビキタスデバイスです。しかし、何世紀にもわたる開発にもかかわらず、従来の剛性ピストンによって生成される力と運動は、その設計によって制限されています。柔軟な材料と構造の使用は、従来にない特徴を備えたピストンの設計への扉を開きます。本論文では、柔軟な膜材料と圧縮可能な剛性構造の組み合わせを利用したピストンのアーキテクチャが提案されています。

実験結果は、従来のピストンと比較して、テンションピストンの概念が実質的に大きな力(3倍以上)、高出力、高エネルギー効率(低圧力で40%以上の改善)を生成できることを示しています。同時に論文中では、柔軟で剛性の高いハイブリッドピストンアーキテクチャは、従来のピストンよりも大幅に高い出力とエネルギー効率で性能を発揮できることを実証しており、潜在的な用途の非常に幅広い分野があることを示唆しています。

ただ利点だけでなく、文中では弱点も語られています。流体圧力によって逆駆動することはできないこと、高圧および高温の用途には理想的ではないということです。これらの重要な問題に対処して、今後の作業でテンションピストンの有用性を拡大していくことを結論としています。

[1] Li, S., Vogt, D. M., Bartlett, N. W., Rus, D., & Wood, R. J. (2019). Tension Pistons: Amplifying Piston Force Using Fluid‐Induced Tension in Flexible Materials. Advanced Functional Materials, 1901419.

論文URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/adfm.201901419