表面上の液体の濡れ挙動を制御することは、撥水コーティングなどの産業用途にとって重要です。表面の液体の挙動は、完全に広がるような挙動から、超疎水性の液滴の動きを想像するとわかりますが、最小限のものまであります。液滴の動きを制御することは、マイクロフルイディック液体処理、表面におけるセルフクリーニング、および熱の伝達、という意味で重要と言われています。液滴の動きは、表面エネルギーの勾配で実現できますが、既存の技術では、通常は液滴の動きを制限する接触線のピン止めの影響を克服するために、大きな勾配または入念に準備された表面が必要です。
本論文では、プロピレングリコールやガラスに堆積した水など、適切に選択された混和性液体の成分の液滴が、隣接する液滴の動きを引き起こすことを示します。標準的な予測とは異なり、完全には広がりませんが、見かけの接触角を示します。また、液滴自体は、蒸発による表面張力勾配によって安定化され、隣接する液滴から放出される蒸気に反応して移動することを実験的および分析的に実証しています。
論文自体を読んでも非常に理解が進むとは思いますが、動画の印象が非常に強く、自律センシングや運動ベースの協調動作といったロボティクスへの応用、センシングへの応用なども著者たちは期待しているようです。
本動画が掲載された記事で、「これらの液滴は互いに感知し、移動し、相互作用します。ほとんど生細胞のようです」とManu Prakashはコメントしています。
[1] Cira, N. J., Benusiglio, A., & Prakash, M. (2015). Vapour-mediated sensing and motility in two-component droplets. Nature, 519(7544), 446.記事URL:https://news.stanford.edu/news/2015/march/dancing-droplets-prakash-031115.html
論文URL : https://www.nature.com/articles/nature14272