クリーンエネルギーの未来に向けた安定したコアシェル構造を持つ新しい触媒構造

電極触媒酸素還元反応のコアシェルナノ粒子と燃料電池のカソード反応 [1]

マックス・プランク研究所、MIT、ユーリッヒ総合研究機構の研究チームは、プラチナベースのコアシェルナノ粒子と、安定したコアナノ粒子を発見し、その研究成果がNature Materialsに寄稿されました。

高分子電解質型燃料電池は、電気エネルギーへの化学物質の変換のための重要な要素の一つですが、現在用いられている電極触媒は、高い耐久性が必要であるために、依然として貴金属を大量に含んでいます。以前より課題にはなっていますが、こういった貴金属触媒は、コストとの兼ね合いになってしまいます。

本論文で提唱しているのは、活性および安定性を増加させながら、貴金属を低減する事が出来る、コアシェルシステムを報告しています。
わずか数単分子層の厚さの貴金属製のシェルを用い、安価な材料を組み合わせたコアを組み合わせることで実現しています。シェルはプラチナで作られている一方で、コアは安価な金属炭化物、窒化物で構成されています。

論文中にも記載はありますが、完全なプラチナのシェルを持つ粒子は、10,000以上の電位サイクルで構成される加速電気化学的劣化研究中に、コアシェル構造と原子組成を正確に維持したそうです。
完全にコーティングされた材料の耐久性は、将来の触媒用途向けに地球に豊富な遷移金属炭化物(TMC)および窒化物(TMN)コアを使用したコアシェルアーキテクチャの可能性を示唆している、と報告しています。

[1] : https://www.mpie.de/4175558/nature-materials-ledendecker

[2] : Göhl, D., Garg, A., Paciok, P., Mayrhofer, K. J., Heggen, M., Shao-Horn, Y., … & Ledendecker, M. (2019). Engineering stable electrocatalysts by synergistic stabilization between carbide cores and Pt shells. Nature Materials, 1-5.

URL : https://www.nature.com/articles/s41563-019-0555-5