皮膚に貼れるウェアラブル電子デバイスをカーネギーメロン大学のチームが発表

ElectroDermis

本論文は2019年度のヒューマンコンピュータインターフェースに関する国際会議であるCHI会議(the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems)で報告された内容です。

ウェアラブルは、有望なインタラクティブプラットフォームであり、人体に関する様々な情報を習得し、これを解析することにより、慎重な情報アクセス、健康状態の監視、フィットネス、ファッションなど、幅広いアプリケーションを展開するものです。しかし、ウェアラブルなデバイスは、人体への適合性を始め、着用者にとって快適でなければならず、柔らかく、弾性があり、外観で見ても魅力的でなければなりません。
本論文では、電子機器を一時的に身体に取り付けることができるElectroDermis、というシステムを提案しています。これは、回路基板を個々のコンポーネントに分けることによって、高機能で伸縮可能なウェアラブルエレクトロニクスの作成を簡素化する製造アプローチです。これらの個々のコンポーネントは、伸縮可能な電気配線を配線し、ファブリック上で組み立てられ、再利用可能、と主張しています。

ただ、金属薄膜を処理できる高度なレーザーマイクロマシニングシステムが必要であることや、現在の電子包帯は密閉されておらず、湿気による損傷を受けやすいため洗濯できない、などの課題があるようです。
こういった課題を一つずつ解決した上で、他の機能と組み合わせたりすれば、さらなる機能向上と携帯性を担保できる電子ウェアラブルデバイスが製造できるかもしれません。

[1] : Markvicka, E., Wang, G., Lee, Y. C., Laput, G., Majidi, C., & Yao, L. (2019, April). ElectroDermis: Fully Untethered, Stretchable, and Highly-Customizable Electronic Bandages. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (p. 632). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3300862

プラスチック印刷と溶融エレクトロスピニングを組み合わせたテキスタイル3Dプリンター

Desktop Electrospinning: A Single Extruder 3D Printer for Rigid Plastic and Electrospun Textiles [1]

カーネギーメロン大学の研究チームが、硬いプラスチック印刷と溶融エレクトロスピニングを組み合わせたテキスタイルが製造できる3Dプリンターを発表しました。静電気力を使用して溶融ポリマーから薄い繊維を作成する技術を用いているそうです。
今回提案しているプリンターは、単一のプロセスで単一の材料(PLA)を使用して、硬質プラスチックと並んでカスタムシェイプのテキスタイルシート(羊毛フェルトに似た)を製造できるそうです。
メルトエレクトロスピニングを実現するために、オープンソースのファームウェア、ハードウェアの仕様、および印刷パラメーターを提供し、消費者向けの3Dプリンターでの実現を検討したそうです。

このアプローチは、生成された静電紡績繊維の柔軟性、吸収性、柔らかさと、作動、検知、および触覚体験のため、プラスチックの構造と剛性を融合するインタラクティブなオブジェクトとセンサーを製造することを可能にし、インタラクション文脈で、新しい機会を提供できると主張しています。
論文中におけるアプリケーション事例としては、花びらの開閉や、センシングと組み合わせて羊が鳴くシート、折りたたみランプなどを紹介しています。

また、今後の研究の方向性としては熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリカプロラクトン(PCL)などの材料の展開や、製造できるオブジェクトの範囲拡張などを検討している、と論文には記載されています。

[1] : Rivera, M. L., & Hudson, S. E. (2019, April). Desktop Electrospinning: A Single Extruder 3D Printer for Producing Rigid Plastic and Electrospun Textiles. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (p. 204). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3300434

紙ベースのマイクロ流体デバイスに関するレビュー論文

p-CMFとp-DMFから構成されるプログラム可能なマイクロ流体の模式図
(文献[1]のFigure 1より引用)

最近の先進的な紙ベースのマイクロ流体デバイスは、手頃な価格のポータブルデバイスをポイントオブケアテスト(POCT)に使用することにより、バイオマーカーの検出のための代替技術を提供します。
プログラム可能な紙ベースのマイクロ流体デバイスは、流体サンプルを操作するためのより良い制御を提供するため、シングルおよびマルチステップアッセイの高感度および自動化による幅広いバイオマーカー検出を可能にします。

本レビュー論文では、バイオマーカー検出のための、プログラム可能なマイクロフルイディクス、すなわち紙ベースの連続フローマイクロフルイディック(p-CMF)デバイスと紙ベースのデジタルマイクロフルイディクス(p-DMF)デバイスの進歩を調べています。
まず、これら2種類の紙ベースのマイクロ流体デバイスの製造に使用される方法と、流体供給のプログラミングおよび液滴操作の戦略について説明し、次に、バイオマーカーのシングルおよびマルチステップ検出のためのこれらのプログラム可能な紙ベースのデバイスの使用について説明しています。
最後に、バイオマーカー検出のための紙ベースのマイクロフルイディクスの現在の制限とその開発の見通しを示しています。

本Review論文は流体デバイスに関する最近の動向を俯瞰するのに適しており、現代のデバイス技術の進化速度が速く、近い将来、幅広い患者の疾患におけるスクリーニング用途などに使用される可能性が極めて高いことを感じさせます。

同時に、紙ベースの技術活用であり、1度使用したら破棄できるという利点を最大限に活かすためにはコストダウンが必要ではありますが、その用途の幅広さ、汎用性の高さから、研究開発がさらに進む可能性を示唆しています。

[1] : Soum, V., Park, S., Brilian, A. I., Kwon, O. S., & Shin, K. (2019). Programmable Paper-Based Microfluidic Devices for Biomarker Detections. Micromachines10(8), 516.

URL : https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31382502

外的な刺激を推進力に変えるソフトロボット物質とは

2019 AK RollBot

外部の刺激に応答して繰り返し形状変形をしたり、自己推進することができるソフトロボット物質を作成することに関心が高まっています。

本論文では、すべての液晶分子が一様に同じ方向に向いているネマチックから等方性への転移温度を持つ液晶エラストマーの二重層で構成されるソフトロボット物体を印刷し、相互接続するアクティブヒンジを形成しています。それぞれの動作温度以上に加熱されると、印刷されたヒンジは可逆的な曲げ応答を示します。それらの応答性に関しては、化学的性質とアーキテクチャを変えることでプログラムできるようです。設計と積層造形のアプローチにより、安定した構成を示す多面体の紙や五角形プリズムに組み立てられる「ロールボット」など、受動的に制御された自由なソフトロボット物体を作成しており、論文中で報告しています。

論文中では、ヒンジの化学組成から曲げ角度の温度依存性のデータも載っていますし、自走式ロールロボットの構造についても細かく記載があります。

[1] Kotikian, A., McMahan, C., Davidson, E. C., Muhammad, J. M., Weeks, R. D., Daraio, C., & Lewis, J. A. (2019). Untethered soft robotic matter with passive control of shape morphing and propulsion. Science Robotics4(33), Art-No

URL : https://scholar.harvard.edu/files/lewisgroup/files/science_robotics_soft_robotic_matter_.pdf.

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