ノースウェスタン大学の研究者チームが人型サイズのオブジェクトを印刷できる3Dプリンタを開発

HARP – High Area Rapid Printing – 3D Printer [1]

ノースウェスタン大学の研究者チームは、1時間で毎時430ミリメートルを超える連続垂直印刷速度と毎時100リットルの体積スループットを持つ新しい3Dプリンターを開発した、とScienceから発表されました。

本論文では、HARP(High-Area Rapid Printing)と呼ばれる非常に大きなシステムを開発しており、そのHARPから印刷できるオブジェクトサイズは人間並みのサイズまで形成可能だそうです。

多くの3Dプリントの方法は、構造をレイヤーごとに構築します。これにより、各ステップの間に積層レイヤーが作成されます。 固化した構造と樹脂のプールの間の緩衝に、いわゆるデッドレイヤーが使用される場合、液面から連続印刷を行うことができます。

ただし、印刷速度は発熱重合プロセスからの発熱によって制限されるため、印刷物の最終的なサイズが制限されます。この熱の除去が課題だそうですが、本論文内で報告している手法では、フッ素化オイルとして知られる液体テフロンにあるそうです。熱を除去しつつ、樹脂が非粘着性であるため、印刷速度が向上する、と報告しています。

本研究のLeaderであるChad A. Mirkinは、製造業に革命を起こせるかもしれない、とインタビューでも答えています。

興味がある方は是非原文を読んでみると良いかもしれません。

[1] : Walker, D. A., Hedrick, J. L., & Mirkin, C. A. (2019). Rapid, large-volume, thermally controlled 3D printing using a mobile liquid interface. Science366(6463), 360-364.

URL : https://science.sciencemag.org/content/366/6463/360

[2] : https://3dprintingindustry.com/news/northwestern-researchers-develop-large-scale-sla-harp-3d-printer-with-record-throughput-163638/

液体金属を用いた柔らかなスピーカー技術

ガリウムをベースとした共晶金属と水酸化ナトリウム水溶液を元に作られた液体金属ラウドスピーカー(LML : Liquid Metal Loudspeaker)がKU-KIST のチームらから発表されました。ガリウムをベースとした共晶金属と水酸化ナトリウム水溶液を元に作られた液体金属ラウドスピーカー(LML : Liquid Metal Loudspeaker)がKU-KIST のチームらから発表されました。 電気化学反応による表面張力変化によって液滴を振動させて音を生み出しているようです。

このスピーカーは交流信号(AC Signal)を入力することで動作します。 音圧は1cm離れば場所で約40-50 dBです。 また曲げた状態においても機能することができます。

デモンストレーションでは、ピアノの音や人の声などを再生しています。本研究ではこの動作原理を確認するために音、電気的特性、動きなどを観察しています。

著者らはこのスピーカーは電気化学反応により引き起こされる表面張力の変化により、音の発生が引き起こされていると主張しています。

論文中では電気信号の有無によって液体金属部位(Ga2O3)がどのように変形しているか、またその周波数特性といったデータを紹介しております。

また周囲の電解質のモル濃度によって入力電圧に対して音圧がどのように変化するかといったデータなどがまとめられています。

このスピーカーはPDMS(ポリジメチルシロキサン)などの柔らかい構造体で封止した状態でも動作することができ、Wearable Speakerといった新たな用途の可能性が語られています。

音圧レベルはまだ小さいですが、柔らかく小型に実装できることから、従来とは異なる場所での音や振動デバイスとして将来発展していくかもしれません。

[1]Sang Woo Jin, Yu Ra jeong, Heun Park, Kayeon Keum, Geumbee Lee, Yong Hui Lee, Hanchan Lee, Min Su Kim and Jeong Sook Ha, Small 2019, 1905263

URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/smll.201905263

VR世界と物理空間をつなぐタイルのような空気圧作動インターフェースの紹介

TilePoP: Tile-type Pop-up Prop for Virtual Reality [1]

バーチャルリアリティ(VR)では、人間にHMDを被せ、よりリアルな3DCGを見せることで、擬似的に現実の世界と錯覚させ、没入感を生む体験が提案されていますが、触覚に関しては、視覚情報と物理世界をつなぐものが存在しないと作ることができません。例えばVRの世界で人間が見えていて触れようとした場合、その人間に実際に触れることができる場合とできない場合では、没入体験の度合いが異なります。

国立台湾大学の研究チームらが、バーチャルリアリティでのオブジェクトを構築するため、動的にポップアップし、かつタイルのように展開する、新しいタイプの空気圧作動インターフェイスであるTilePoPを紹介しています。
TilePoPは、特定の折りたたみ構造で設計された積み重ねられた立方体のエアバッグの2D配列で構成され、各エアバッグを物理プロキシに注入し、使用していないときに元のタイル形状に戻すことができるそうです。
TilePoPは、人間の体重もサポートできるそうで、VRでの新しい相互作用の可能性を可能にすると主張しています。
論文内では、TilePoPの設計と実装について、そのアプリケーションのデモと、TilePoPのユーザーエクスペリエンスを理解するために行われたユーザー評価の結果を含めて説明してくれています。

動画を見てもわかるようにレイテンシーが非常に大きな課題となると思いますが、このような研究が進んで、リアルタイムにハプティクスが表現できれば、VRが普及するスピードもさらに加速すると考えられます。

最後になりましたが、本論文は2019年度のUIST会議に寄稿されたものです。

[1] : Teng, S. Y., Lin, C. L., Chiang, C. H., Kuo, T. S., Chan, L., Huang, D. Y., & Chen, B. Y. (2019, October). TilePoP: Tile-type Pop-up Prop for Virtual Reality. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 639-649). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347958

触覚フィードバックのためのインタラクティブなソフト空気圧アクチュエータスキン

Interactive Soft Pnuematic Actuator Skin for Tactile Feedback [1]

EPFLの研究チームが、ソフト歪みセンサーを備えた空気圧アクチュエータを試作し、触覚フィードバックに対する閉ループ制御を実現したと報告し、その研究成果をSoft Roboticsに寄稿しました。

最新のウェアラブル技術では、身体により近いコミュニケーション、センシング、フィードバックのための、より直感的で洗練されたインターフェースが必要です。
EPFLの研究チームは、双方向の触覚情報転送を可能にして、よりシンプルで応答性の高いウェアラブルインターフェイスを実現する、新しいソフト空気圧アクチュエータ(SPA)ベースのセンサー統合インターフェイス、SPAスキンを試作しています。

このSPAスキンは、大きな多軸ひずみに耐え、高周波検知と動作が可能だそうです。構造は論文中に記載がありますが、柔らかいシリコーンエラストマーと金属の膜を使用しているとのことです。
触覚フィードバックを閉ループ制御するには、プラットフォームに凝集した統合システムが必要になり、EPFLのシステムは、伸縮性のある低プロファイル(<500 lm)SPAと超準拠の金属薄膜ひずみセンサーで構成されており、力で調整可能な振動フィードバックを介した触覚センシング用の新しい双方向プラットフォームを作成したとしています。

このプロトタイプを使用して、可変負荷の下で維持される最大1Nの出力で、最大100Hzのリアルタイムでアクチュエータ形状の制御を実証しました。さらに、さまざまな作動振幅と周波数での静的および動的な挙動についてSPAスキンプラットフォームを特徴付け、このシステムの分析モデルを開発して、埋め込みセンサーの抵抗のみを使用してアクチュエーターの膨張状態を予測したと主張しています。

SPAスキンは、接触センシングと振動触覚フィードバック用の高速ウェアラブル双方向インターフェースとして容易に実装できる多機能多層システムであり、センシングとアクチュエータの閉ループ制御に裏打ちされた高忠実度の触覚フィードバックのための理想的な「ハードウェア」インターフェイスを提供すると主張しています。

[1] : https://www.epfl.ch/labs/rrl/research-2/research-soft/page-148990-en-html/

[2] : Sonar, H. A., Gerratt, A. P., Lacour, S. P., & Paik, J. (2019). Closed-Loop Haptic Feedback Control Using a Self-Sensing Soft Pneumatic Actuator Skin. Soft robotics.

URL : https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/soro.2019.0013

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