MIT Media Labが開発した心拍数フィードバックが可能なモバイルデバイス:ambienBeat

ambienBeat: Wrist-worn Mobile Tactile Biofeedback for Heart Rate Rhythmic Regulation [1]

MIT Media Labの研究チームが、ユーザーの心拍数(HR)に基づく触覚刺激による閉ループバイオフィードバックを提供する、手首に装着したモバイル心拍数レギュレーターであるambienBeatを開発し、その成果を2020年度のTEI会議にて報告しています。

タッチによる生理学的同期の原理を適用して、精神的ストレスレベルと密接に結びついたHRの楽な調節という目標を達成したと報告しています。
本研究チームが開発したambienBeatは、心拍パルスの感覚を模倣するさまざまなパターンの触覚刺激を提供し、ユーザーのHRがリズミカルな触覚パターンと共鳴するように導くそうです。

触覚刺激の強度とリズミカルなパターンは、タスクの妨害を最小限に抑えるために、手首での個人の触覚感度の認知閾値を下回るレベルに制御され、周囲の触覚刺激をレンダリングし、システムと実装プロセスを提示するために、音響的にノイズのないソフトボイスコイルアクチュエータを提案しています。

周囲の聴覚および視覚ガイダンスと比較することにより、システムを評価しており、そのユーザー調査の結果、触覚刺激がユーザーのHRをambienBeatに共鳴させて、最小の認知負荷を使用して心拍数を落ち着かせるか、高めるのに効果的であることを示した、と主張しています。
本論文中では多くのResearch事例も紹介しています。

[1] : Choi, K. Y., & Ishii, H. (2020, February). ambienBeat: Wrist-worn Mobile Tactile Biofeedback for Heart Rate Rhythmic Regulation. In Proceedings of the Fourteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (pp. 17-30).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3374920.3374938

ウェアラブルの可能性を拡張する糸状の歪みセンサ

伸びた量を計測可能な伸縮性のセンサはストレッチセンサや伸縮性歪みセンサなどと呼ばれ、ウェアラブル機器やスポーツ用途で利用が期待されています。

国内でも話題になった初代のZOZOスーツにもストレッチセンサが利用されていました。国内でもバンドーエラストマー社などが開発を進めています。

https://marketing.bandogrp.com/C-STRETCH_LP.html

また海外でもElastiSense, StretchSenseなどが開発を行なっています。これらのセンサは伸縮性の電極とエラストマー材料を組み合わせた静電容量型のセンサとなっており、伸縮時に膜厚と電極の面積変化により生じる容量の変化を読み取っています。

また国内ではXenomaなどもストレッチセンサを搭載したセンシングウェアを販売しており、今年のCESでAwardをとるなど盛り上がりを見せています。

https://xenoma.com/

今回 ACS Appl. Mater. Interfacesに掲載された論文ではこのようなストレッチセンサを糸状に形成した成果が報告されています。

この糸状のストレッチセンサはポリウレタン中に銀のナノワイヤが分散された構成をしています。下の図1のような手順で毛細管現象を用いて、上手くファイバーに形成しています。

図1 糸状のストレッチセンサ(PU/AgNW Fiber)の製造プロセス([1] Figure 1. より引用)

このファイバーは伸縮時に銀ナノワイヤの接触条件が変わることで抵抗値が変化しているようです。論文中ではやくは約40%を越えると急激に抵抗値が増加している様子が観察されています。

また耐久性では約2500回(変位5%)の条件で特性を測定していますがデータからは劣化が確認できないレベルの耐久性を実現しているようです。

論文中ではファイバーという小型なサイズを活かして指や手首の動きから、口角や眉の動きといった表情筋のセンシングまで取り組んでいるようです。また喉に貼ることで呼吸や飲み込むといった動作を取得できるといったデモも行なっています。

参考URL

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b08611

参考文献

[1]Zhu, G. J., Ren, P. G., Guo, H., Jin, Y. L., Yan, D. X., & Li, Z. M. (2019). Highly sensitive and stretchable polyurethane fiber strain sensors with embedded silver nanowires. ACS applied materials & interfaces11(26), 23649-23658.

オランダのアイントホーフェン工科大学らが開発した、姿勢認識のための衣服プロトタイプ

Figure 1. プロトタイプ衣服を水平垂直方向に引き伸ばした時の様子 [1]
(論文[1]より抜粋)

オランダのアイントホーフェン工科大学とNikeの研究チームが、反復性緊張障害(RSI)のコンテキストで姿勢を認識するための豊富な触覚フィードバックを提供する、新しいパーソナライズされた衣服のプロトタイプを2020年度のTEI(Tangible, Embedded and embedded Interaction)会議で報告しています。

姿勢矯正に関連する従来のものとは異なり、ユーザーが感覚的な経験を活用して姿勢を認識できるようにする衣服を設計することを目的としていたそうです。
設計セッションにおいて、共同設計者としてユーザーを積極的に関与させることで、遊び心と体性感覚の体験を通して姿勢認識を提供する衣服を設計することができたと報告しており、共同設計アプローチにより、姿勢認識のパーソナライズ、身体感覚、遊び心を考慮した設計がどのように可能になったかについて、反射分析結果を報告しています。

[1] : Mironcika, S., Hupfeld, A., Frens, J., Asjes, J., & Wensveen, S. (2020, February). Snap-Snap T-Shirt: Posture Awareness Through Playful and Somaesthetic Experience. In Proceedings of the Fourteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (pp. 799-809).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3374920.3375013

256チャネルの記録または刺激に対応できる薄膜の3Dフレキシブル微小電極アレイが開発されました

Figure 1. 3Dフレキシブル微小電極アレイ(3DMEA)の概要図 [1]
(論文[1]のFigure 1より引用)

三次元(3D)in vitroモデルは、従来の二次元では制限されていた組織環境内の空間的、機械的、および化学的手がかりに依存する細胞-細胞および細胞-ECM相互作用を研究するシステムとしてますます一般的になりました。
2D微小電極アレイ(MEA)を介した神経活動電位の電気生理学的記録は、神経機能、ネットワーク通信、および化学物質と生物に対する反応を評価する一般的かつ信頼できる方法です。

ローレンス・リバモア国立研究所らの研究チームは、ニューロンの3D培養を非侵襲的に調査し、256チャネルの記録または刺激に対応できる、薄膜の3Dフレキシブル微小電極アレイ(3DMEA)を開発し、その研究成果をLab on a chipに寄稿しています。
3DMEAは製造が簡単で、標準の市販の電気生理学ハードウェアと統合でき、ポリイミドプローブアレイはガラス基板上に微細加工され、機械的に作動してアレイを垂直位置にまとめて持ち上げ、ベースヒンジ領域の塑性変形のみに依存して垂直アライメントを維持したと報告しています。

このプラットフォームは、in vitroでの電気活性細胞の3Dネットワークの非侵襲的な電気生理学的特性評価を促進する重要なステップだと主張しています。

[1] : Soscia, D. A., Lam, D., Tooker, A. C., Enright, H. A., Triplett, M., Karande, P., … & Fischer, N. O. (2020). A flexible 3-dimensional microelectrode array for in vitro brain models. Lab on a Chip.

URL : https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/lc/c9lc01148j#!divAbstract

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