本論文はKorea Advanced Institute of Science and Technology(通称KAIST)の研究チームらが発表し、Science Advancesに寄稿されたものです。
最新のエレクトロニクスは、特定の目的に役立つ機械的特性を持っています。例えば、硬い電子機器は、ユーザーフレンドリーで便利なインターフェースを提供しています。逆に、柔らかく、伸縮可能な電子機器は、身体の自然な形に対応する能力により、快適性、携帯性、および生理学的なモニタリングの容易さを実現するウェアラブルおよび埋め込み型アプリケーションに適しています。
上記の例から分かるように、硬いデバイスは硬いデバイスの役割、柔らかいデバイスは柔らかいデバイスに特化したアプリケーションがあります。
本論文では、硬いデバイスとソフトマテリアルデバイスの両方の重要な機能を活用するために、目的のアプリケーションの必要に応じて形状と剛性を変換できる、新しい変形可能な電子システムを提唱しています。
今回提唱している変形可能な電子システムは、有機および無機材料で作られた伸縮可能な電子機器と互換性のあるプラットフォームだそうです。また、使用しているガリウムは、体温を通じて電子機器の形状と剛性を調整できるため、ウェアラブルおよび埋め込み型電子機器に変換できるとのことです。
さらに、異なる遷移温度を必要とするアプリケーションでは、ガリウムの代替品として他の種類の可融合金を使用できるようです。つまり、使用する材料を考慮すれば違う形のアプリケーションで使用できるプラットフォームのようなシステムである、ということが背景にあるようで、今回の論文で提唱したシステムはTransformative Electronic System(TES)と呼んでいます。
動画では体温で変化する電子デバイスを紹介していますが、論文中には今回使用しているガリウム材料の想定変形メカニズムに加え、相転移温度など、データセットも充実しているため、興味がある方は論文をご参照いただければと思います。
[1] * Byun, S. H., Sim, J. Y., Zhou, Z., Lee, J., Qazi, R., Walicki, M. C., … & Gereau, G. B. (2019). Mechanically transformative electronics, sensors, and implantable devices. Science advances, 5(11), eaay0418.URL : https://advances.sciencemag.org/content/5/11/eaay0418/tab-pdf