人工筋肉を用いた潰れても動作可能な虫型ロボット

Dielectric Elastomer Actuator( DEA)と呼ばれる人工筋肉を用いた虫型のロボットがスイスのEPFLのグループらによって発表されました。

DEAはエラストマー素材の両面を柔らかい電極で挟み込んだような構造をしており、電圧を加えると電極の両面に電荷が溜まり、極板間引力により変形します。

軽量でありながら、大きな変形と発生力を生み出すことが特徴ですが、このような優れた特性を発揮するには大きな電界(一般的に50MV/m以上)を加える必要がありました。EPFLのグループはこのDEAのエラストマー層を薄膜化することで低電圧化を図っています。

Fig.1 [1]のFig.1 より引用

その結果、昇圧回路が小型化され、バッテリーと共に搭載する事で虫型のロボットを提案しています。

過去に紹介した記事のようにDEAを用いて昆虫のように羽ばたくロボットが提案されていますが、これらの事例ではロボットはあくまで別の電源ソースと繋がっていました。今回は全てを搭載した独立した形で成立しているのが一つユニークな点になると思われます。

今回はDEAにより脚部を振動させる事で意図した方向に進むことができています。またアクチュエータ部分が柔らかい素材でできているため、潰されても壊れにくいといったユニークな特徴が強調されています。

論文中では薄膜化しいた際にも活用できる電極の組成やその特徴、動作時の共振周波数といったデータも記載されていますので興味のあるかたはぜひ原文[1]をお読みください。

詳細的にはこのようなアクチュエータを搭載した動作ステムが印刷などで安価で大量に作られる日がくるかもしれないですね。

URL:https://robotics.sciencemag.org/content/4/37/eaaz6451

参考文献

[1]Ji, X., Liu, X., Cacucciolo, V., Imboden, M., Civet, Y., El Haitami, A., … & Shea, H. (2019). An autonomous untethered fast soft robotic insect driven by low-voltage dielectric elastomer actuators. Science Robotics4(37).