伸びた量を計測可能な伸縮性のセンサはストレッチセンサや伸縮性歪みセンサなどと呼ばれ、ウェアラブル機器やスポーツ用途で利用が期待されています。
国内でも話題になった初代のZOZOスーツにもストレッチセンサが利用されていました。国内でもバンドーエラストマー社などが開発を進めています。
https://marketing.bandogrp.com/C-STRETCH_LP.html
また海外でもElastiSense, StretchSenseなどが開発を行なっています。これらのセンサは伸縮性の電極とエラストマー材料を組み合わせた静電容量型のセンサとなっており、伸縮時に膜厚と電極の面積変化により生じる容量の変化を読み取っています。
また国内ではXenomaなどもストレッチセンサを搭載したセンシングウェアを販売しており、今年のCESでAwardをとるなど盛り上がりを見せています。
今回 ACS Appl. Mater. Interfacesに掲載された論文ではこのようなストレッチセンサを糸状に形成した成果が報告されています。
この糸状のストレッチセンサはポリウレタン中に銀のナノワイヤが分散された構成をしています。下の図1のような手順で毛細管現象を用いて、上手くファイバーに形成しています。
このファイバーは伸縮時に銀ナノワイヤの接触条件が変わることで抵抗値が変化しているようです。論文中ではやくは約40%を越えると急激に抵抗値が増加している様子が観察されています。
また耐久性では約2500回(変位5%)の条件で特性を測定していますがデータからは劣化が確認できないレベルの耐久性を実現しているようです。
論文中ではファイバーという小型なサイズを活かして指や手首の動きから、口角や眉の動きといった表情筋のセンシングまで取り組んでいるようです。また喉に貼ることで呼吸や飲み込むといった動作を取得できるといったデモも行なっています。
参考URL
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b08611
参考文献
[1]Zhu, G. J., Ren, P. G., Guo, H., Jin, Y. L., Yan, D. X., & Li, Z. M. (2019). Highly sensitive and stretchable polyurethane fiber strain sensors with embedded silver nanowires. ACS applied materials & interfaces, 11(26), 23649-23658.