タフツ大学の研究チームが、シルクを効率的に加熱して成形する事が出来る熱処理方法を開発し、その成果をNature Materialsに寄稿しました。この手法は、特定のニーズに合わせて特性を調整する事が可能で、他の材料に比べても高い強度を持つそうです。
天然シルクはタンパク質ベースの生体高分子であり、そのユニークな構造と特性に対する初期の洞察は、シルクに含まれるβシートのナノクリスタライトが、熱処理を受けると溶融する前に劣化することを示唆していました。それ以来、シルクベースの材料を製造するための標準的なアプローチには、通常、シルクタンパク質の溶解性と溶液中の安定性、および時間とコスト効率に関して固有の限界がある溶液由来の加工方法が含まれていたそうです。
本論文では、再生シルクをバルクの「部品」または機械的特性が調整可能なデバイスに直接ソリッドステート成形するための熱処理方法を報告しています。
高温高圧下で、超低βシート含有量の再生アモルファスシルクナノ材料は、分子再配列および結合水による自己組織化により熱融合し、生体適合性、分解性、および機械加工性を保持する堅牢なバルク材料を形成するそうです。
この技術は、シルクの直接熱処理の限界についての仮定を、さまざまな新しい材料形式と、調整された特性と機能性を備えた複合材料に逆転させると主張しています。
URL : https://www.nature.com/articles/s41563-019-0560-8