pHに反応するマテリアルが見せる新しいエクスペリエンス

Organic Primitives: Synthesis and Design of pH-Reactive Materials

本論文は、MIT media Labで開発され、2017年度のCHI conferenceで発表されたものです。

この論文では、HCIの入出力デバイスのライブラリを拡張し、有機流体ベースシステムとの相互作用の設計を容易にするOrganic Primitivesというものを紹介しています。
pH信号を人間が読み取れる出力に変換するトランスデューサーとして、色、匂い、および形状を変える材料プリミティブを作成しました。食品の有機分子であるアントシアニン、バニリン、およびキトサンに関して、色のスペクトル、形状変形の程度を出力し、臭気状態と非臭気状態を切り替える材料を合成するためのドーパントとして使用したそうです。センサーアクチュエータの個々の出力特性を評価し、pH 2-10の変化の速度、範囲、および可逆性を評価した、と論文の序章に記載があります。

日常で遭遇するpH、つまり酸・塩基に関するものといえば、雨が挙げられます。論文中のアプリケーションでも紹介されていますが、傘が雨に濡れると色が変わる、といったエクスペリエンスも紹介されており、pHに反応するマテリアルが日常生活を明るくしてくれる可能性を示唆してくれています。

[1] : Kan, V., Vargo, E., Machover, N., Ishii, H., Pan, S., Chen, W., & Kakehi, Y. (2017, May). Organic primitives: Synthesis and design of pH-reactive materials using molecular I/O for sensing, actuation, and interaction. In Proceedings of the 2017 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 989-1000). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3025952