延性のある金属や有機材料で観察される大きな塑性変形と比較して、無機半導体はその固有の結合特性のために塑性が制限され(<0.2%)、伸縮性のある電子機器での広範な用途が制限されます。
韓国の蔚山科学技術大学校らの研究チームは、延性のあるα-Ag2S薄膜の溶液処理合成と、全無機、セルフパワー、伸縮性のあるメモリデバイスの製造について報告、その研究成果がAdvanced Materialsに寄稿されています。
分子Ag2S複合溶液は、Ag2S粉末の化学的還元によって合成され、ウェーハスケールの高結晶性Ag2S薄膜を製造しています。薄膜は固有の延性により伸縮性を示し、14.9%の引張ひずみで構造の完全性を維持し、さらに、この抵抗変化型メモリは、優れたバイポーラスイッチング特性(イオン/ Ioff比約105、動作耐久性100サイクル、保持時間> 106秒)と優れた機械的伸縮性(特性の低下なし)を示す)。
また、このデバイスは耐久性としても優れているそうで、さまざまな化学的環境や-196〜300°Cの温度でも非常に耐久性があり、特にヘルスケアの文脈で重要な耐湿性もあり、相対湿度85%および85°Cで168時間特性を維持するそうです。
ウェアラブルヘルスケア監視システムとして使用するためのモーションセンサーと組み合わせたセルフパワーメモリが実証され、現実の環境で日常生活で使用できる高性能ウェアラブル電子機器を設計する可能性を提供するとしています。
URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202100066