CG界の著名な巨匠達を生み出したユタ大学の伝説の研究室

コンピュータグラフィックのメッカをご存知でしょうか?
アメリカ合衆国の西部に位置するユタ州、ソルトレイクシティにあるユタ大学で、とある著名な研究者が、現在のコンピュータグラフィックス、Virtual Reality(VR)およびGUIと呼ばれるグラフィックユーザーインターフェースの技術に関する、多くの基礎技術を作った伝説のラボを生み出します。

Ivan Sutherland Sketchpad Demo

そのユタ大学の伝説のラボを作ったとされ、教授を務めていたのが、アイヴァン・サザランドです。サザランド氏は、世界ではじめてのGUIを作成したと言われています。元となったMITラボに所属する際の博士論文テーマである「Sketch Pad : 人間と機械のグラフィックコミュニケーションシステム」[1] は、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の開発に多大な影響を与え、後のコンピュータグラフィックに最も影響を与えたと言われています。(動画はサザランド氏がテレビのインタビューに答えてデモをしたものだそうです)
そのサザランド氏が設立したユタ大学の研究室から、たった数年間の間に、コンピュータサイエンス、特にコンピュータグラフィックスの基礎となる技術がほとんど生まれたとされており、同時にその研究室から様々な著名な研究者が生まれています。

以下に、サザランドがユタ大学で教授を務めた際の著名な教え子と、後に同僚のデビット・エヴァンスと共に設立したエヴァンス・サザランド社で勤務していた著名な人を記載します。

また非常に面白い事に、サザランドがMITで博士課程だった際の教員は、アラン・チューリングやジョン・フォン・ノイマンと共にコンピュータの基礎を作ったとされるクロード・エルウッド・シャノンであり、コンピュータサイエンスの技術開発の歴史がつながっていることがわかります。

研究者の功績と研究室は非常に密接な関係性があり、その周囲環境によっても研究者のパフォーマンスは大きく変わります。現在の研究の歴史を少し紐解くと、その連続性と人々の繋がりに非常に興味深いものを覚えます。
今後研究者を目指される方は、自分の興味がある研究テーマの現在のトレンドや、過去の歴史を紐解いてみるのが良いのではないでしょうか。

[1] : https://www.cl.cam.ac.uk/techreports/UCAM-CL-TR-574.pdf