ソニーが開発したフルカラーで描画と消去を行えるロイコ染料を使用したフィルム

印刷した写真画質並みのフルカラー高解像度での描画を実現 [1]

ソニーは、フルカラーでの描画と消去が繰り返し行えるフィルムと、それを高速で実現するレーザー照射技術を新たに開発した、とニュースリリースにて発表しました。その論文が発表されていたので紹介します。

今回ソニーが開発したフィルムは、レーザー光を熱に変換する光熱変換剤と、シアン、マゼンダ、イエローの各色を有するロイコ染料、熱によってその発色状態を変化させることのできる材料等を、ソニー独自の技術で配合、積層することで実現したそうです。
熱による発色状態の変化で描画を行うため、階調は段階的なドット表現ではなく細やかな濃淡で表現でき、写真画質レベルの鮮やかな色彩表現が可能、とリリース本文には記載されています。[1]

論文中に記載があるように、ロールツーロール(R2R)プロセスで簡単に製造でき、書き込みと消去は、近赤外レーザー光のスキャンによって実行するそうです。426 ppiの高解像度で、広い色域のフルカラー写真品質の画像を実現でき、書き換えも確認されています。

高温保管および耐光性試験の信頼性モデルを検証しており、このモデルは実験データとの良好な一致を示し、画像の寿命は周囲条件下で8年を超えると推定しています。

この技術は、電力を節約し、紙の使用を削減しながら、オンデマンドの書き換え可能な画像デザインのアプリケーションを作成し、最終的に持続可能な社会に貢献できる、と締めくくっています。

[1] : https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201905/19-043/

[2] : Kaino, Y., Kurihara, K., Shuto, A., Mizuno, H., Asaoka, S., Ishida, T., … & Tejima, A. (2019, June). 57‐2: Distinguished Paper: Laser‐Addressed Full‐Color Photo‐Quality Rewritable Sheets Based on Thermochromic Systems with Leuco Dyes. In SID Symposium Digest of Technical Papers (Vol. 50, No. 1, pp. 799-802).

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jsid.775?af=R