3Dプリント後に熱によって物体構造を変更できるプロセス:TF-Cells

Designing Metamaterial Cells to Enrich Thermoforming 3D Printed Objects for Post-Print Modification [1]

KAISTの研究チームが、印刷後の修正を可能にするために、熱成形可能なセル、TF-Cellsと呼ばれるメタマテリアル構造を提案、その成果をCHI2021に寄稿し、Honorable Mentionに選定されています。

現在までの研究では、熱成形は熱伝導率が低いため、3Dプリントオブジェクトの修正に限定的に適用されています。提案されているTF-Cellsは、熱風を通し、熱伝導率の高いビームアレイで構成されています。印刷物の埋め込まれた TF-Cellsを加熱することにより、ユーザーはオブジェクトのより深い領域だけでなく、その形も変更できます。一連の技術的実験により、TF-Cells の構造パラメータ、配向、加熱条件に応じた熱成形性を調査しており、TF-Cellsと固体構造で構成される一連の複合セルを示し、剛性を調整したり、望ましくない形状の変形を減らしたりしていることを確認しています。

実験の結果を反映したTF-Cells を 3D モデルに埋め込むためのシンプルなツールも構築しており、このツールを使用して、機械的フィッティング、人間工学的フィッティング、および審美的な調整のコンテキストで様々なアプリケーションを実装し、その成果を論文に記載しています。

[1] : Ko, D., Yim, J. B., Lee, Y., Pyun, J., & Lee, W. (2021, May). Designing Metamaterial Cells to Enrich Thermoforming 3D Printed Object for Post-Print Modification. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411764.3445229

CMUの研究チームが発表した機械編みによる多機能スペーサー生地のエンジニアリング

Engineering Multifunctional Spacer Fabrics Through Machine Knitting [1]

機械編みは、カスタムできる製品を生産するための利用しやすい製造技術です。 ただし、最近の機械編みの研究は、ニットの形状、または手編みのパターンの適応に焦点を当てています。

カーネギーメロン大学の研究チームは、多層スペーサー生地(二枚のメッシュの間を垂直な糸によって三次元的に編み込まれた、素材の中にスペース・空間のある布)の製造という、機械編み特有の機能を探求し、その成果をCHI2021にて発表、Honorable Mentionを受賞しています。
これらの生地は、構造に剛性とボリュームを与えるモノフィラメントフィラー、ヤーンによって接続された 2つの表面層で構成されています。スペーサー生地のニットパターンと糸パラメーターを変化させて、調整可能な密度、剛性、材料バイアス、および剛毛特性を備えたソフト動作メカニズムとセンサーを形成するための機能が埋め込まれた触覚材料を生成する方法を示しており、ソフトグリッパーをはじめとする多数のアプリケーションを論文内で紹介しています。

これらは、コンピュータ制御のv-bed 編機で迅速に作成し、ソフト オブジェクトに直接組み込むことができるとしています。

[1] : Albaugh, L., McCann, J., Hudson, S. E., & Yao, L. (2021, May). Engineering Multifunctional Spacer Fabrics Through Machine Knitting. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411764.3445564

MIT CSAILが発表したレーザーカッターに統合されたデバイス製造プロセス

LaserFactory: An Electromechanical Assembly and Fabrication Platform Integrated with a Laser Cutter
to make Functional Devices and Robots [1]

MIT CSAILらの研究チームが、人間の介入なしに完全に機能するデバイスの製造をサポートするために、市販のレーザーカッターを補強する統合製造プロセス:LaserFactoryを発表、その研究成果を2021年度のCHI会議にて寄稿しています。

LaserFactoryは、2Dおよび3Dの機械的構造の作成に加えて、任意の形状の導電性回路トレースを作成し、電子および電気機械コンポーネントを選択して配置、それらを所定の位置にはんだ付けを行ってくれます。

この機能を有効にするために4つの施策を実施したと報告しています。

  • 銀の回路トレースを堆積してコンポーネントを組み立てることができるハードウェアアドオンをレーザーカッターヘッドに構築
  • CO2レーザーを使用してディスペンスされた銀を硬化させる新しい方法を開発
  • システムを市販のレーザーカッターと容易に統合できるようにするモーションベースの信号方式を構築
  • LaserFactoryで機能的なデバイスを作成するための設計および視覚化ツールを提供

論文中に記載のある評価によると、LaserFactoryはさまざまなサイズのコンポーネント(最大65g)を組み立てることができ、これらはレーザーはんだ付け(3.2オーム/ m)後に高導電性になる細いトレース(最小0.75mm)で接続できるとしており、加速度ベースのセンシングスキームは確実に機能すると主張しています(99.5%の精度まで)。

[1] : Nisser, M., Liao, C. C., Chai, Y., Adhikari, A., Hodges, S., & Mueller, S. (2021, May). LaserFactory: A Laser Cutter-based Electromechanical Assembly and Fabrication Platform to Make Functional Devices & Robots. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-15).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411764.3445692

東京大学らが提案したパラメトリックにデザインできるゼリー : Flower Jelly

Demonstrating Flower Jelly Printer for Parametrically Designed Flower Jelly [1]

東京大学の研究チームが、透明なゼリー中に花の形をしたゼリーが浮かび上がる繊細なデザート「Flower Jelly」をCHI2021に成果を寄稿し、People’s Choice Best Demo Honorable Mention Awardに選ばれています。

提案されたFlower Jellyは、その美しさと精巧な作りであり、このデザートの難しい製造を簡素化するとともに、デザインをよりしやすくにするため、デジタルで製造するための印刷デバイスおよびデザイン ソフトウェアである Flower Jelly Printer を論文内で紹介しています。提案されている設計ソフトウェアを使用すると、ユーザーはパラメーターを操作するだけで、希望の形状になるまで結果のフォームをプレビューでき、完成品のイメージを膨らませることができるそうです。

また、ベースゼリーに直接着色ゼリーを注入するスリットタイプのインジェクション印刷技術を開発しており、いくつかのデザイン例を提案、実装することで、デザインの可能性の幅を広げたとしています。
デジタル加工食品へ、よりユーザーがアクセスしやすくなるように、またデザイン空間を拡大しながら、より多くの人が自分の花ゼリーをデザインして作成できる未来を見据えた研究だとしています。

[1] : Miyatake, M., Narumi, K., Sekiya, Y., & Kawahara, Y. (2021, May). Demonstrating Flower Jelly Printer for Parametrically Designed Flower Jelly. In Extended Abstracts of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-4).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3411763.3451541

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