インタラクションデザインのための薄膜の流体形状変化材料:milliMorph

milliMorph — Fluid-Driven Thin Film Shape-Change Materials for Interaction Design [1]

本論文は2019年度のヒューマンコンピュータインターフェースに関する国際会議であるACM Symposium on User Interface Software and Technology(通称UIST)で報告された内容です。

流体ベースの(空気圧および油圧)形状変化材料は、ソフトロボット工学およびインタラクション設計に関心を集めており、将来のウェアラブル、ロボット、インターフェースの軽量なデザインを可能にしてくれる期待があります。同時に、超薄膜センサーは、他の多くの研究で実証されているように、軽量、かつ取り付けが簡単で、人間の皮膚にはほとんど知覚できないという利点を示しています。
本論文では、これらの背景をベースに、流体駆動薄膜アクチュエータの製造方法とプロトタイプを紹介しています。
特に、インタラクションの分野では、製造スケールを微細な領域にまで小さくすることはあまり実施されていないため、ミリメートル単位で流体チャンバーとチャネルを作成し、少量の流体で高い材料作動周波数、連続制御で大きな折りたたみ変換を達成できる新しいCNCヒートシーリングプラットフォームを導入しています。
材料の特性、製造プロセス、およびアプリケーションのプロトタイプを使用して、流体駆動の形状変化材料がスケールに依存することを示しています。

また、今後の展開に関しては複数層の設計であったり、センシング技術を改良したり、アクチュエーションのライブラリを増やしたり、といったことを検討していると論文中には記載しており、形状が変化する材料のライブラリが充実するに比例した形で、新しい設計の思想が生まれてくるかもしれません。

[1] : Lu, Q., Ou, J., Wilbert, J., Haben, A., Mi, H., & Ishii, H. (2019, October). milliMorph–Fluid-Driven Thin Film Shape-Change Materials for Interaction Design. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 663-672). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3347956

自己修復機能を持った材料を使ったユーザーインターフェースが顧客体験を拡張する

Self-healing UI: Mechanically and Electrically Self-healing Materials for Sensing and Actuation Interfaces [1]

本論文は2019年度のヒューマンコンピュータインターフェースに関する国際会議であるACM Symposium on User Interface Software and Technology(通称UIST)で報告された内容です。

東京大学とカーネギーメロン大学らの研究チームが、自己修復特性をマテリアルに付与するために、外部からの刺激や接着剤なしで損傷を自己修復するソフトボディインターフェイスを提案しています。
この自己修復ユーザーインターフェースを実現するための重要な素材は、MWCNTs-PBSを提案しています。MWCNTs-PBSは、自己修復ポリマーポリボロシロキサン(PBS)と、機械的および電気的な自己修復性を保持するフィラー材料の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の複合材料です。
PBS、MWCNTs-PBS、および布地やシリコンなどの材料を組み合わせて、自己修復、検知、および作動機能を備えたインターフェイスデバイスを構築するハイブリッドモデルを開発した、と主張しています。
特に、この特性を接着剤や後処理を使用せずに、実装できている部分が非常に優れています。

また、著者らはこの材料特性を生かして、インターフェースの拡張性を定義しており、修復という新しい特性を追加で活用することによって、論文中でも様々なアプリケーションを提案しています。
従来の貼るだけでインターフェースになるものとは少し異なるアプローチで、非常に興味深い内容となっています。

[1] : Narumi, K., Qin, F., Liu, S., Cheng, H. Y., Gu, J., Kawahara, Y., … & Yao, L. (2019, October). Self-healing UI: Mechanically and Electrically Self-healing Materials for Sensing and Actuation Interfaces. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 293-306). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3347901

複合現実における双方向のテレプレゼンスを使用したリモート指示システム

Loki: Facilitating Remote Instruction of Physical Tasks Using Two-way MixedReality Telepresence [1]

物理的なタスクでユーザーをリモートで指導およびガイドすることは、さまざまな分野で期待されています。特に教育の場面では、その商用利用を期待する声が高まっています。
多くの現在のアプローチは、専門家と学習者の間の通信帯域幅(コンテキスト、空間情報の欠如)または対話(単方向、非同期)で制限されることがよくあります。また、専門家向けと学習者向けでは、視点が全く違うので、ユーザーインターフェースにも違いがありますし、アプリケーション自体も違う例があります。

本論文では、物理的タスクを教えるための双方向混合現実(MR)テレプレゼンスシステムの設計空間を活用した新しいシステムLokiを提案しています。
このシステムは、動画、音声、空間キャプチャと混合現実のプレゼンテーション手法を活用して、ユーザーがローカル環境とリモート環境を調査して注釈を付け、自分のパフォーマンスと同僚のパフォーマンスを記録およびレビューできるようにしたそうです。
論文では、さまざまなシナリオと定性的なユーザー調査を通じて、その有用性を検証しています。

動画を見てもわかるように、現状のハードウェアデバイスの表現の粒度やコンテンツの質と言う意味で、まだまだ制限がありますが、今後の発展に期待したいところです。

[1] : Thoravi Kumaravel, B., Anderson, F., Fitzmaurice, G., Hartmann, B., & Grossman, T. (2019, October). Loki: Facilitating Remote Instruction of Physical Tasks Using Bi-Directional Mixed-Reality Telepresence. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 161-174). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347872

ニット衣類の成形とパターン化のための設計ツールの紹介

Knitting Skeletons: A Computer-Aided Design Tool for Shaping and Patterning of Knitted Garments [1]

この論文では、シンプルな衣服の構成と表面のパターン化のための新しいインタラクティブなシステムを紹介しています。このツールは、CADソフトウェアと画像編集のアイデアを組み合わせたもので、ツールにより、自動化されたレイアウトとリアルタイムのパターニングフィードバックを使用したインタラクティブなカスタマイズを可能にするそうです。
カジュアルなユーザーが機械編みの衣服をカスタマイズしやすくする一方で、より上級のユーザーが独自の構成可能なテンプレートを設計できるようにする、と論文では主張しています。

論文内では、さまざまなリサンプリング動作を備えた、画像編集に似たパターン仕様を可能にする斬新なパターンレイヤーとともに、パターン化のためのドメイン固有の言語も導入したそうです。
階層的なステッチ表現を使用して対話性を最適化し、より現実的なシミュレーションを提供することにも関心がある、と締めくくっています。

本論文は2019年度のUIST会議にて報告された内容です。

[1] : Kaspar, A., Makatura, L., & Matusik, W. (2019). Knitting Skeletons: A Computer-Aided Design Tool for Shaping and Patterning of Knitted Garments. arXiv preprint arXiv:1904.05681.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347879

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