液体中に自由な3D構造を作る3Dプリンティング技術

Figure 1. Series of optical images [1]

水性の微細構造は、その表面が球状に収縮する傾向があるため、作成や処理、および保存が困難です。
本論文では、配合された水性の2相システム(ATPS)を使用した、複雑な自由な3次元(3D)全液体アーキテクチャが生成できることを実証しています。この生成方法では自由な形状を作ることが可能になるため、動脈、尿道カテーテル、気管などの複雑な組織様構造のバイオプリンティングを可能にしてくれます。

ポリマー間の水素結合相互作用を利用することにより、印刷された水性/水性の再構成可能な3Dアーキテクチャは、界面の非共有膜によって数週間安定化できるとのことです。異なる細胞を個別に区画化されたバイオインクおよびマトリックスと組み合わせて、血管ネットワークを使用したりできるなど、テーラーデザインのマイクロ構造体を作ることができます。 幅広い天然および合成親水性ポリマーの中から無限の配合を設計できるため、この印刷アプローチは、再生医療での潜在的な用途向けに、生体模倣の動的な組織様構造を設計するのに役立つ場合があると主張しています。

[1] Luo, G., Yu, Y., Yuan, Y., Chen, X., Liu, Z., & Kong, T. (2019). Freeform, Reconfigurable Embedded Printing of All‐Aqueous 3D Architectures. Advanced Materials, 1904631.

論文URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201904631

人間とロボットの協調動作のためのAR表示システム

GhostAR: A Time-space Editor for Embodied Authoring of Human-Robot Collaborative Task with AR [1]

人間とロボットが協調するためには様々な課題が存在します。例えば、どういう行動を人間が取るか、その行動の具体化などが含まれます。人間の暗黙知の部分も可視化する必要があります。
本論文では、タスクをその場で作成および実行するための時空間エディタであるGhostARを紹介しています。
論文内で提案されているシステムは、アクションを空間的に編集し、実証的なロールプレイを通してロボットをプログラミングし、ユーザーのオーサリングをデモンストレーションおよび編集可能なARゴーストとして外部に出力し、可視化する新しいHRC(Human Robot Collaborative)ワークフローです。
これにより、空間的に配置された視覚参照、リアルなアニメーションシミュレーション、および協調動作の指示が可能になるそうです。

リアルタイムでキャプチャされた動きを入力し、事前に生成された人間のアクションにマッピングし、対応するロボットの動きを出力して、適応型協調動作を実現したそうです。オフラインでのトレーニングプロセスを行わずに、現場での迅速な反復にて実現しています。さらに、ユースケースと3セッションのユーザー調査を通じて、ワークフローの有効性を実証および評価しています。

適応型協調動作では、機能と直感的な相互作用のバランスの問題を解決する必要があり、この分野の発展に寄与したい、と締めくくっています。興味がある方は原文をご参照ください。

[1] : Cao, Y., Wang, T., Qian, X., Rao, P. S., Wadhawan, M., Huo, K., & Ramani, K. (2019, October). GhostAR: A Time-space Editor for Embodied Authoring of Human-Robot Collaborative Task with Augmented Reality. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 521-534). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347902

ドローンを活用した第3者視点がパイロットの状況認識力を向上

Third-Person Piloting: Increasing Situational Awareness using a Spatially Coupled Second Drone [1]

昨今のドローンに関する技術進歩は凄まじく、軍事をはじめ、配送などの領域、ユーザーが今まで撮れなかった視点での写真撮影など、非常に幅広い領域で実用性が検討されています。

本論文では、2台同時に空中にドローンを浮かべ、空中にある2台目のドローンからインタラクティブな3人称視点を提供することで状況認識を高める、新しいドローンインターフェイスであるThird-Person Pilotingを提案しています。
パイロットは、操作可能なミニチュアドローンを備えたコントローラーを使用します。アルゴリズム上、パイロットの目の位置と小型ドローンの関係を把握し​​、空の2つの実際のドローン間で同じ空間関係が維持されるようにするそうです。
これにより、パイロットは、従来のコントローラーを使用した標準的なプライマリドローン制御を維持しながら、ミニチュアドローンの向きを変えることにより、さまざまな第三者の視点を得ることができると報告しています。

論文内では、プログラム可能なドローンを使用して作業プロトタイプを設計および実装し、いくつかの代表的な操作シナリオを提案しています。
ユーザーのフィードバックを収集して、フィードバックを得た結果、インタラクティブな3人称視点が、状況認識を高め、彼らの主要なドローン操作をサポートし、パイロットパフォーマンスを向上させるのに十分な可能性を提供することを示唆したと報告しています。

今後は、より実用的なタスクを伴う定量的なユーザー調査、第三者の視点での視覚化技術によるシステムの改善、衝突回避システムとの組み合わせを検討するそうです。

[1] : Temma, R., Takashima, K., Fujita, K., Sueda, K., & Kitamura, Y. (2019, October). Third-Person Piloting: Increasing Situational Awareness using a Spatially Coupled Second Drone. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 507-519). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347953

柔らかい素材に関する3Dプリンティングの事例集

Figure.1 Sizes and shapes of typical 3D-printed objects[1]

デジタルデザインを可能にする幅広い光およびインクベースの印刷技術を網羅した3Dプリンティングに関する論文です。本論文はソフトマテリアルについて説明し、素材のパターン化に使用される光およびインクベースの3D印刷技術を紹介しています。

これまでの市販の3Dプリンターは、主に3Dオブジェクトのラピッドプロトタイピングに焦点を合わせていましたが、軽量およびインクベースの3次元(3D)印刷方法を実現することで、初期に高価なコストがかかる金型、ダイ、またはリソグラフィマスクを必要とせずに、材料の迅速な設計と製造が可能になる点がメリットとして挙げています。同時に、ソフトマテリアルが設計できる事で、さまざまな長さスケールにわたって、その組成とアーキテクチャをプログラム制御する事が可能になると説明しています。

印刷可能な素材の範囲が拡大し、無数のアプリケーションのイノベーションを促進することが期待されており、生物学的に着想を得た複合材料やソフトセンサー、積層造形のみが生産できるロボット工学などの事例によって示されています。
本論文中では、このような豊富な事例に加え、どのスケールであればどういう造形方法かまで紹介されており、網羅性が高い論文となっています。

[1] Truby, R. L., & Lewis, J. A. (2016). Printing soft matter in three dimensions. Nature540(7633), 371-378.

論文URL:https://www.nature.com/articles/nature21003

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