全てナノファイバーで構成された伸縮性と通気性を確保した人工皮膚

AIの急激な発展に伴い、認識系の技術も発展を求められています。特に生き物の皮膚のように柔らかく、また様々なスケールに展開できる技術は注目を集めています。

今回、Donghua Universityより提案された人工皮膚(ElectroSkin)はElectro Spinning(エレクトロスピニング)と呼ばれる手法で形成されています。

エレクトロスピニングはナノファイバーを紡糸する際によく用いられる技術です。ポリマー溶液を充填したシリンジなどに電界をかけることで、電荷反発により液滴が噴霧させます。この時に適切な粘度と電界が加わることでナノファイバーを形成する手法です。すでに量産機なども存在しております。

今回提案された素材はポリウレタン、PVDF, Carbon のそれぞれのナノファイバを層状に組み合わせることで構成されています。

(※PVDF:PolyVinylidene DiFluoride 有機圧電ポリマーの一種、応力に対して電圧を生じるためしばしセンサや発電に用いられる。)

圧力に対して非常に高い感度を有しており、また検出できるレンジも0-175kPa程度とのことです。また、この素材は50%程度伸ばしてもセンシングの特性や機械的な安定性を維持しています。

 

形成されたファイバーシートの表面と伸長時の様子([1]のFigure1より引用)

またこの素材はナノスケールで見ると上の写真のように開口を有していますが、液滴のようなサイズになると素材の疎水性と液体の表面張力により内部に浸潤することができません。この素材と構造により、防水でありながら優れた通気性を有しています。

 

防水と通気性確保のメカニズム([1]Figure4より引用)

このスキンはセンサにも活用できますが、その変形状態で生じた信号をセンシングに使うだけでなく、動きによる発電として用いるエナジーハーベスト素子としても応用可能です。

 

発電の様子(左図:LEDアレイ50個を店頭させている様子, 右図:手首につけたシートからコンデンサに電気を蓄え市販の腕時計を動作せている様子) ([1] Figure 5より引用)

著者らはこの素材は高い感度、優れた伸縮性、通気性、そして自己発電機能、そしてファブリケーション の技術を備えていると謳っており、将来のWearable Skinとしての応用の可能性がありそうです。

参考文献

[1]Zhaoling, L., Maiomiao , Z., Jiali, S., Qian, Q., Jianyong, Y., & Bin, D., (2019). All‐Fiber Structured Electronic Skin with High Elasticity and Breathability, Advanced Functional Materials, 1908411

URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201908411

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複雑なヘアスタイルを数分または数時間で作成できるインタラクティブなヘアモデリングシステム

HairBrush for Immersive Data-Driven Hair Modeling [1]

髪は仮想人間にとって不可欠な要素ですが、作成するのが最も難しいデジタル資産の1つでもあります。既存の自動テクニックには、豊富なヘアバリエーションを作成するための汎用性と柔軟性がありませんが、手動オーサリングインターフェイスは、特にナビゲートが困難な複雑な3Dヘア構造の場合、かなりの芸術的スキルと努力を必要とします。

南カリフォルニア大学の研究チームは、既存のツールでは非常に時間がかかる複雑なヘアスタイルを数分または数時間で作成できるインタラクティブなヘアモデリングシステムを提案しています。
初心者ユーザーを含むモデラーは、全体の髪型と局所的な髪の変形に集中することができるそうです。
髪には複雑な3D構造が含まれているため、従来の2Dインターフェイスを使用して作成することは本質的に困難なため、今回提案されている手法では、仮想現実(VR)での没入型相互作用のための新しい3Dヘアオーサリングインターフェイスを提供してくれるため、ユーザーは、高レベルのガイドストリップを描画できるようになり、さらにはプロのキュレーションされたデータセットから訓練されたディープニューラルネットワークを介して、最も可能性の高いヘアスタイルが予測されるそうです。
データセットの各ヘアスタイルは複数のバリエーションで構成されており、フィットした髪のモデルは、ユーザーが選択、変更、または無視できるインタラクティブな提案として視覚化されるそうです。

ユーザー調査を実施して、既存の手法では作成が困難なさまざまな頭髪や顔のヘアスタイルのモデリングの出力品質を向上させながら、システムが手作業を大幅に削減できることを確認した、と報告しています。

[1] : Xing, J., Nagano, K., Chen, W., Xu, H., Wei, L. Y., Zhao, Y., … & Li, H. (2019, October). HairBrush for Immersive Data-Driven Hair Modeling. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 263-279).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3332165.3347876

ロボットが反応する速度は少し遅いぐらいが良いことを立証する実験

Fast Handovers with a Robot Character: Small Sensorimotor Delays Improve Perceived Qualities [1]

Disney Researchの研究チームが、ロボットの速度と反応時間が知覚される相互作用の質に及ぼす影響を調査するユーザー調査とともに、ロボットキャラクターを使用したハンドオーバーのためのシステムを紹介しています。システムは人間の速度に合わせてそれを超えることができ、ユーザーが人間レベルのタイミングを好むことを確認しています。

このシステムは、擬人化された手を持つロボットキャラクターの外観を持ち、ベジエ曲線を使用して滑らかな最小動作を実現しています。
低タイミングのモーションキャプチャとリアルタイムの軌道生成により、高速タイミングが可能になるそうです。最初にロボットが予想されるハンドオーバー位置に向かって移動し、軌道がオンザフライで更新されて実際のハンドオーバー位置にスムーズに収束していることが動画でもわかります。

3×3ユーザーの調査では、ロボットの速度を変化させ、可変の感覚運動遅延を追加するため、Robot Social Attribute Scale(RoSAS)を使用して、ロボットの社会的認知を評価しています。調査結果では、小さな感覚運動遅延をロボットに追加すると、知覚されるロボットの品質にプラスの効果があることを示しています。遅延なしの条件は不快感が増し、長い遅延条件は暖かくないと感じられることがわかったそうです。また、典型的なハンドオーバーでロボットの速度が人間の速度よりも速い場合、知覚される不快感が増加することも示しています。
この特定のハンドオーバーでのシナリオでの調査結果は実証されていますが、インタラクティブロボットおよびシステムの他の領域に容易に移行できることが期待されるとしており、すべてのロボットに自然で社会的に受け入れられる行動を与え、人々にそれらと相互作用させることを楽しみにしている、と締めくくられています。

[1] : Pan, M. K., Knoop, E., Bächer, M., & Niemeyer, G. (2019). Fast Handovers with a Robot Character: Small Sensorimotor Delays Improve Perceived Qualities. In IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS).

URL : https://la.disneyresearch.com/publication/fast-handovers-with-a-robot-character-small-sensorimotor-delays-improve-perceived-qualities/

低コストHMDとカメラを使用したリアルタイムの顔追跡のためのデータセットのリサイクル手法

Recycling a Landmark Dataset for Real-time Face Tracking with Low Cost HMD Integrated Cameras [1]

HMDのリアルタイムの顔追跡アルゴリズムのトレーニングで使用するデータセットを準備するには、費用がかかります。
手動で注釈付けされた顔のランドマークは、通常の写真データセットではアクセスできますが、VR顔追跡用の内向きに取り付けられたカメラには、これらの既存のデータセットと互換性のない広角レンズ、低レイテンシーの短い露出、および近赤外線センサーを使用して人間工学的に近距離で動作するなどが含まれます。

Disner Researchの研究チームは、新しいトレーニングデータを作成するコストをかけずに適切な顔ソルバーをトレーニングするために、ラジアルワープリプロジェクションという手法を使用して、既存のランドマークデータセットをHMDカメラ固有のものに自動的に再利用することでコストを下げる、ということを提案しています。
提案している手法は、完全に機能するHMDの下と内部に取り付けられたカメラの位置により正確にローカル対応するために、トレーニングをソース写真のローカル領域、つまり口と目に分けるそうです。
カメラごとに解決されたランドマークを組み合わせて、ユーザーの顔の表情から駆動されるライブアニメーションアバターを生成し、口の領域のセグメンテーション、まばたきの検出、および瞳孔追跡の手段により、重要な堅牢性が実現するそうです。
未処理のトレーニングデータセットに対して結果を定量化しています。

[1] : Brito, C. J. D. S., & Mitchell, K. (2019, November). Recycling a Landmark Dataset for Real-time Facial Capture and Animation with Low Cost HMD Integrated Cameras. In The 17th International Conference on Virtual-Reality Continuum and its Applications in Industry (p. 13). ACM.

URL : https://la.disneyresearch.com/publication/recycling-a-landmark-dataset-for-real-time-face-tracking-with-low-cost-hmd-integrated-cameras/

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