ジェスチャーセンシングに超音波ビームフォーミングを使用する手首装着システム:BeamBand

BeamBand: Hand Gesture Sensing with Ultrasonic Beamforming [1]

カーネギーメロン大学らの研究チームが、手ジェスチャーセンシングに超音波ビームフォーミングを使用する手首装着システムであるBeamBandを開発し、その研究成果を2019年度のCHI会議にて報告しています。

手首に配置された小さなトランスデューサーの配列を使用して、指定された角度と焦点距離で音響エネルギーを投影する音響波面をアンサンブルできるそうです。
これにより、複数の視点からラスタースキャンと言われる2次元の画像を点で1次元的にスキャンして線を得て、次いでその直角方向にその線でスキャンして、2次元の面で画像を得る方法で、聞こえない音で手の表面形状を調べることができます。

結果の特性反射を使用して、8 FPSでの手のポーズを認識しており、ユーザー調査で、BeamBandは94.6%の精度で設定された6クラスのハンドジェスチャーをサポートしていることがわかったと論文で報告しています。セッションをまたいで、センサーを取り外して後で再装着しても、精度は89.4%のままであり、高い精度を保っています。

ソフトウェアとハードウェア、およびスマートウォッチやVRコントローラーなどのデバイスに統合するための将来の動向についても報告内で触れています。

[1] : Iravantchi, Y., Goel, M., & Harrison, C. (2019, May). BeamBand: Hand gesture sensing with ultrasonic beamforming. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-10).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3290605.3300245

ウォータールー大学らの研究チームが開発した単語ジェスチャータイピング手法:RotoSwype

RotoSwype: Word-Gesture Typing using a Ring [1]

カナダのウォータールー大学らの研究チームが、単語ジェスチャータイピングの手法であるRotoSwypeを開発し、2019年度のCHI会議にて報告しています。

今回提案されている手法では、人差し指に装着したリングの向きを使用しており、Roto-Swypeは、仮想現実または拡張現実を含む多くのシナリオで望ましい品質で、デバイスに手を煩わせることなく、片手でテキスト入力を可能にするそうです。
示しているユースケースでは特にVRにおけるヘッドマウントディスプレイをかぶった状態でのタイピングを行えることを示しており、新しいインターフェースとしての提案となっています。

彼らが論文中で報告している、5日間の調査では、両方の手の位置が少なくとも14ワード/分(WPM)の速度を達成し、未修正のエラー率が1%近くであり、以前の同等の手法を上回ることがわかったそうです。

[1] : Gupta, A., Ji, C., Yeo, H. S., Quigley, A., & Vogel, D. (2019, May). RotoSwype: Word-Gesture Typing Using a Ring. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).

URL : https://dl.acm.org/doi/10.1145/3290605.3300244

音響操作によって空中浮遊物のリアルタイム制御を可能にした新しい構造体

LeviProps: Animating Levitated Optimized Fabric Structures using Holographic Acoustic Tweezers [1]

サセックス大学の研究チームが、インタラクティブな空中体験を作成するための構造であるLeviPropsを、2019年度に実施されたUIST会議にて提案しています。音響的に透明な生地と、浮揚アンカーとして機能する取り付けられたビーズで構成された組み合わせにより、従来の音響操作技術で可能なものよりも大きく多様な浮揚構造物のリアルタイム6自由度制御が可能になるそうです。

アプローチのポイントとしては軽量ファブリックに取り付けられた複数のビーズに依存しており、ビーズは多点浮揚法を使用して捕捉され、布地を操作するためのアンカーとして使用される点だそうです。
また、インタラクティブな要素として、投影面として使用できます。ある意味ディスプレイのような使用も可能です。

LeviPropsの作成をサポートするオーサリングツールを開発しており、アンカーの最適な位置を計算するためにプロップの輪郭とユーザーの制約を考慮し、安定性と最大サイズを増やすそうです。また、このツールは、簡単な手順に従って製造できる最終的なLeviPropデザインを生成してくれるそうです。

動画中でもアプリケーション事例は多く出ていますが、インタラクティブなストーリーテリング、ゲーム、空中ディスプレイなど、デザイナーやコンテンツクリエイターの新しい表現の場になるかもしれません。

[1] : Morales, R., Marzo, A., Subramanian, S., & Martinez, D. (2019, October). LeviProps: animating levitated optimized fabric structures using holographic acoustic tweezers. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (pp. 651-661). ACM.

URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3332165.3347882

クリーンエネルギーの未来に向けた安定したコアシェル構造を持つ新しい触媒構造

電極触媒酸素還元反応のコアシェルナノ粒子と燃料電池のカソード反応 [1]

マックス・プランク研究所、MIT、ユーリッヒ総合研究機構の研究チームは、プラチナベースのコアシェルナノ粒子と、安定したコアナノ粒子を発見し、その研究成果がNature Materialsに寄稿されました。

高分子電解質型燃料電池は、電気エネルギーへの化学物質の変換のための重要な要素の一つですが、現在用いられている電極触媒は、高い耐久性が必要であるために、依然として貴金属を大量に含んでいます。以前より課題にはなっていますが、こういった貴金属触媒は、コストとの兼ね合いになってしまいます。

本論文で提唱しているのは、活性および安定性を増加させながら、貴金属を低減する事が出来る、コアシェルシステムを報告しています。
わずか数単分子層の厚さの貴金属製のシェルを用い、安価な材料を組み合わせたコアを組み合わせることで実現しています。シェルはプラチナで作られている一方で、コアは安価な金属炭化物、窒化物で構成されています。

論文中にも記載はありますが、完全なプラチナのシェルを持つ粒子は、10,000以上の電位サイクルで構成される加速電気化学的劣化研究中に、コアシェル構造と原子組成を正確に維持したそうです。
完全にコーティングされた材料の耐久性は、将来の触媒用途向けに地球に豊富な遷移金属炭化物(TMC)および窒化物(TMN)コアを使用したコアシェルアーキテクチャの可能性を示唆している、と報告しています。

[1] : https://www.mpie.de/4175558/nature-materials-ledendecker

[2] : Göhl, D., Garg, A., Paciok, P., Mayrhofer, K. J., Heggen, M., Shao-Horn, Y., … & Ledendecker, M. (2019). Engineering stable electrocatalysts by synergistic stabilization between carbide cores and Pt shells. Nature Materials, 1-5.

URL : https://www.nature.com/articles/s41563-019-0555-5

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