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人の活動をモニターする超高感度な柔らかな歪みゲージ

SCIENTIFIC REPORTにPDMSとAgを用いた超高感度な柔らかな歪みセンサが発表されました。

Aurorではこれまでにもいくつか歪みセンサに関する技術を紹介していますが、今回発表されたセンサはその中でも下の2つの記事の様に歪みの量を抵抗値の変化として読み取るタイプのものです。

エラストマーと導電フィラーを加えた材料による抵抗変化型歪みセンサはこれまでも多く発表されていますが、これらの技術の特徴としてはシート状であるため、ファイバータイプの技術に比べると好きな形に加工できるといった特徴があります。

そのため、搭載した製品や身体の形状に合わせて様々な形でセンサを配置できることが一つのメリットになります。

今回発表されたAg/PDMSをベースとした歪みセンサは下の図の様に簡単にスピンコートによりシート型サンプルを作成することができます。

図1. 提案されたAg/PDMSをベースとした柔かな歪みセンサの (a) 製造プロセス, (b)サンプルの外観
([1]のFigure1より引用)

その特徴はゲージファクターで36%延伸時に939と非常に高い水準を実現しており、その分解能は0.02N以下であるとのことです。

また指に取り付けると300%程の大変形時にもセンサとして活用できるとの実験結果も報告されています。静電容量式センサなどの技術に比べると製造や加工が容易なため、今回の技術の様に感度が上がってくると導入できる場所が機能面・コスト面の両方で増えていくことが期待できそうです。

参考 URL

https://www.nature.com/articles/s41598-020-61658-z

参考文献

[1] Li, H., Zhang, J., Chen, J., Luo, Z., Zhang, J., Alhandarish, Y., … & Wang, L. (2020). A Supersensitive, Multidimensional Flexible Strain Gauge Sensor Based on Ag/PDMS for Human Activities Monitoring. Scientific Reports10(1), 1-9.

€3.9 Mを調達したETH発3Dプリンタベンチャー 9T Labs

3Dプリンタのスタートアップ界隈で調達のニュースが発表されました。スイスの9T Labs AG が2020年1月 31日に€3.9M(日本円で約4億7千万円の調達)と発表されました。

9T Labsは2018 年にETH発ベンチャーとして設立され、産業グレードのカーボンファイバーを出力できる3DプリンタとFibrifyというカーボンファイバーの配置などを最適に配置してくれる設計環境を開発しているようです。

https://www.9tlabs.com/

「9tlab」の画像検索結果"
図1 9T Labs社の3Dプリントによる造形物のイメージ

3Dプリンタ業界ではFoamlabsがユニコーン入りしたり、Carbon社が推定時価総額24億ドルに達するなど大きく成長する企業が現れています。

9T Labsのプリンタもその材用のユニーク性が認められてくればさらに大きく発展するかもしれないですね。

独自のインタラクティブな家具を作成できるモジュール式のスマート家具コンセプト:Foxels

Foxels: Build Your Own Smart Furniture

家具とデジタルデバイスの寿命が異なるため、インタラクティブコンポーネントを家具に導入することは困難であることが判明しています。

Media Interaction Labらが提案したFoxelsは、ユーザーが個々のビルディングブロックを単純にスナップするだけで、オンデマンドで独自のインタラクティブな家具を作成できるモジュール式のスマート家具コンセプトで、その成果を2020年度のTEI会議にて報告しています。

モジュール設計により、システムは柔軟にさまざまなインタラクティブな家具のセットアップに対応できるようになり、再構成可能なスペースに特に適している、と主張しています。
使いやすさと高い汎用性の間のトレードオフを考慮して、モジュール式のインタラクティブ家具に適用できる多くのインタラクション方法を検討し、それによって、よく知られている有形プログラミングのパラダイムを拡張するとしています。

実アイデアワークショップでFoxelsをどのように使用できるか、動画内でもユースケース事例を紹介しています。

[1] : Perteneder, F., Probst, K., Leong, J., Gassler, S., Rendl, C., Parzer, P., … & Haller, M. (2020, February). Foxels: Build Your Own Smart Furniture. In Proceedings of the Fourteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (pp. 111-122).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3374920.3374935

テキサス A&M大学らが提案した形状記憶ポリマーの機能を活用した設計プロセス

熱を加えた前後で維持された形状の図 [1]
(論文[1]のFIgure 1より引用)

手用装具の3Dプリントのこれまでの研究では、患者が3Dプリントのデザインを好むことが示されています。 3D印刷用に設計する際に自己表現を組み込むことは可能ですが、印刷後のカスタマイズはできません。これにより、最終製品を取得するために複数の3Dプリントカスタマイズされた装具が必要になり、設計と製造の反復プロセスが発生してしまいます。この課題に対応するため、形状記憶ポリマー(SMP)は、その「折り紙」の性質により、設計のためのユニークな材料で、加熱されると曲がる機能を持っていることを利用した研究を行ったそうです。

テキサスA&M大学の研究チームが、形状記憶ポリマーの機能を活用して、折り畳み技術を使用して作成された装具を作成する方法:Orthorigamiについて、2020年度のTEI会議にて報告しています。
美的で、軽量で、シンプルで、簡単に調整可能な、個人的にカスタマイズ可能なOrthorigamiデバイスを設計する方法を論文内で報告しています。

論文中では3つのデザインケースを紹介しており、これらのケースは、Orthorigamiの設計プロセスを調査し、そのプロセスが3Dプリントされた対応物よりも設計の反復を改善するかどうかを確認する手段として使用されています。ケーススタディの結果は、エンドユーザーがDIYで、それぞれの用途にカスタマイズされたOrthorigamiデバイスを作成するために使用できるプロセスを提案するために使用したと報告しています。

[1] : Reese, J., Seo, J. H., & Srinavasa, A. (2020, February). Orthorigami: Implementing Shape-Memory Polymers for Customizing Orthotic Applications. In Proceedings of the Fourteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (pp. 123-130).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3374920.3374957

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