VR空間中でのジャンプを仮想的にスケーリングする技術:JumpVR

JumpVR: Jump-Based Locomotion Augmentation for Virtual Reality [1]

バーチャルリアリティ(VR)の大きな利点の1つは、リアリズムを超える機能の実装です。一般的な「非現実的な」移動技術(テレポーテーションなど)は、トラッキングの空間的な制限を回避できますが、より現実的な技術(たとえば、歩行)の潜在的な利点を最小限に抑えることができます。

ドイツのウルム大学の研究チームが、現実的な動きと仮想結果を組み合わせる代替手段として、ジャンプを仮想的にスケーリングするジャンプベースの歩行強化技術であるJumpVRを開発し、その成果を2020年度のCHI会議に寄稿しています。ユーザースタディ(N = 28)で、VRでのジャンプ(スケーリングに関係なく)は、テレポーテーションに比べて存在感、動機付け、および没入感を大幅に増加させることができますが、シミュレーター酔いはほとんど増加しないそうです。

論文内で報告しているように、定量的結果と定性的結果の両方がより高い没入感と動機付けを引き出したことを示しています。将来のVRゲームや研究にジャンプを組み込まれる日が近そうです。

[1] : Wolf, D., Rogers, K., Kunder, C., & Rukzio, E. (2020, April). JumpVR: Jump-Based Locomotion Augmentation for Virtual Reality. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376243

MagTouch:スマートウォッチが認識できるジェスチャーを増やす手法

MagTouch: Robust Finger Identification for a Smartwatch Using a Magnet Ring and a Built-in Magnetometer [1]

スマートウォッチでタスクを完了するには、タッチスクリーンのサイズが小さく、指で簡単にアクセスできるタッチコントロールがないため、複数のジェスチャーが必要になることがよくあります。

KAISTの研究チームらは、スマートウォッチでどの指が使用されているかを識別できるようにすることで、タッチジェスチャーでトリガーできる機能の数を増やすことを提案し、2020年度のCHI会議に寄稿しています。研究チームらは、既製のスマートウォッチに組み込まれた磁力計を使用する方法であるMagTouchを開発しています。

中指に装着したリングに固定された磁石の磁場を測定し、測定された磁場と画面上のタッチ位置を組み合わせることにより、MagTouchはどの指が使用されているかを認識するそうです。同時にMagTouchは外部電源が不要であり、周辺の磁場の影響を排除するためのアルゴリズムなどの解決策も提示しています。
テストでは、MagTouchが95.03%の成功率で接触に使用する3本の指を区別できることが実証されたとしています。

[1] : Park, K., Kim, D., Heo, S., & Lee, G. (2020, April). MagTouch: Robust Finger Identification for a Smartwatch Using a Magnet Ring and a Built-in Magnetometer. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-13).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376234

スマホを利用した口内環境のサポートツール:OralCam

OralCam: Enabling Self-Examination and Awareness of Oral Health Using a Smartphone Camera [1]

医療資源や口腔の健康への意識の欠如により、口腔疾患はしばしば検査も治療もされずに残され、世界中の大勢の人々に影響を与えています。低コストのセンサー搭載スマートフォンの登場により、モバイルアプリは口腔の健康を促進することができそうですが、現状、モバイルヘルスソリューションは、ユーザーが自分の口腔の健康状態をサポートしている事例は少ないのが現状です。

UCLAらの研究チームが、口腔のスマートフォン写真を撮ることにより、エンドユーザーが5つの一般的な口腔状態(疾患または初期の疾患信号)を自己検査できるようにする最初のインタラクティブアプリであるOralCamを開発し、2020年度のCHI会議に寄稿しています。アンケートに回答し、スマホで写真を取るとその写真を解析することで、自分の口腔内環境の状態についてサポートしてもらえるという仕組みです。

OralCamを使用すると、ユーザーは追加情報(例:生活習慣、痛み、出血など)に注釈を付けて入力画像を補強し、出力を階層的、確率的、視覚的に説明して、一般ユーザーが検査結果を理解できるようになるそうです。歯科専門家によって注釈が付けられた3,182枚の口腔写真で構成される社内データセットに基づいて開発されたディープラーニングベースのフレームワークは、5つの条件で平均検出感度0.787を達成し、高いローカリゼーション精度を実現したと報告しています。

1週間にわたるユーザー調査(N = 18)では、ほとんどの参加者がOralCamの使用と試験結果の解釈に問題はなく、専門家にインタビューを行い、ユーザーの口腔の健康に対する意識を促進するためのOralCamの実現可能性をさらに検証しています。

[1] : Liang, Y., Fan, H. W., Fang, Z., Miao, L., Li, W., Zhang, X., … & Chen, X. A. (2020). OralCam: Enabling Self-Examination and Awareness ofOral Health Using a Smartphone Camera. arXiv preprint arXiv:2001.05621.

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376238

アイロンを用いたテキスタイル開発のための高速プロトタイピングツール

Rapid Iron-On User Interfaces: Hands-on Fabrication of Interactive Textile Prototypes [1]

インタラクティブなテキスタイルのラピッドプロトタイピングは、手作業、いくつかの処理手順、専門知識が関係しているため、依然として困難です。

ドイツのドレスデン工科大学らの研究チームが、アイロンを使った高速なプロトタイプが可能なユーザーインターフェイスを開発し、その成果を2020年度のCHI会議に寄稿しています。
インタラクティブな機能でファブリックを強化するためのツールとしており、デザイナーとメーカーに力を与えるための新しい製造アプローチだと主張しています。スマートテキスタイルとプリントエレクトロニクスで構成される熱活性化接着剤をベースにしており、柔軟に布にアイロンをかけてカスタムインターフェイス機能を作成できるそうです。

スケッチのような方法で迅速な製造をサポートするために、目的の長さの連続的な機能テープや個別のパッチを直接適用するためのハンドヘルドディスペンサーツールも開発しています。汎用のテキスタイルアクセサリーを利用し、カスタム形状のI/Oモジュールをスケッチして、複雑な回路を作成できる多用途のコンポジションテクニックを紹介しています。

さらに、入力、出力、配線、コンピューティング用のコンポーネントの包括的なライブラリを提供しています。 3つのアプリケーション例、技術実験の結果および専門家によるレビューは、このアプローチの機能性、汎用性、および可能性を示しています。

[1] : Klamka, K., Dachselt, R., & Steimle, J. (2020, April). Rapid Iron-On User Interfaces: Hands-on Fabrication of Interactive Textile Prototypes. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-14).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376220

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