pHによって色変化する生体物質ベースのインクを使用したウェアラブルへのアプローチ

Figure 1. pHセンシングデバイスの作成フローと異なるベース材での使用事例 [1]
(論文[1]のFigure 1より引用)

ウェアラブルインターフェイスは、食事と栄養、パーソナライズされたヘルスモニタリング、パフォーマンスの最適化を含む、複数のヘルスケアおよびウェルネス戦略の中核です。具体的には、マイクロ流体インターフェースと組み合わされた柔軟な電子フォーマットの出現により、生体液のサンプリングと定量化のための洗練されたコンフォーマルなデバイスが生まれたりしています。

タフツ大学の研究チームが、生体物質ベースのインクを使用した、生化学レポーターの確定パターンを高解像度で印刷できる技術を開発し、ウェアラブルセンシングへのアプローチを示しています。具体的事例としてTシャツやスカーフなどに適用した事例を示しており、成果をAdvanced Materialに寄稿しています。

比色パターンに基づくセンシングTシャツは、ウェアラブルインターフェイスとなりうるユーティリティを示すために開発したとしています。論文中で画像を載せていますが、画像分析により、パラメーターの変化を波長ごとにリアルタイムで追跡できるため、生物物理学的応答のマップのような形式が得られています。

[1] : Matzeu, G., Mogas‐Soldevila, L., Li, W., Naidu, A., Turner, T. H., Gu, R., … & Li, M. (2020). Large‐Scale Patterning of Reactive Surfaces for Wearable and Environmentally Deployable Sensors. Advanced Materials, 2001258.

URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202001258

BISHARE:ARHMDとスマートフォンのインタラクション用デザインスペース

BISHARE: Exploring Bidirectional Interactions Between Smartphones and Head-Mounted Augmented Reality [1]

HMDデバイスをスマートフォンなどのスマートデバイスと組み合わせて使用できる未来がそう遠くなく感じます。HoloLensを代表するARのヘッドマウントディスプレイデバイスは日に日にその性能を増していますし、スマートフォンは私達の日常生活から切っても切り離せない必須デバイスになっています。

カナダのトロント大学の研究チームが、スマートフォンとARHMDのクロスデバイスインタラクションのデザインスペースであるBISHAREを開発、成果を2020年度のCHI会議にて報告しています。
提案されたデザインスペースは、HMDを使用してスマートフォンのタスクを強化する方法とスマートフォンを使用してHMDのタスクを強化する方法の両方を検討するため、本質的に双方向であるという点でユニークだそうです。

またクロスデバイスの相互作用を可能にするインタラクティブなプロトタイプを用いて、12人の参加者によるユーザー調査を行っており、既知の相互作用パターンを活用することで、共同相互作用が魅力的であり、広範なトレーニングなしでプロトタイプを使用できることがわかったと報告しています。

スマートフォンとARHMDがし続けるにつれて、それらを統合されたインタラクションプラットフォームになっていき、クロスデバイスでのインタラクションも増える可能性は高そうです。

[1] : Zhu, F., & Grossman, T. (2020, April). BISHARE: Exploring Bidirectional Interactions Between Smartphones and Head-Mounted Augmented Reality. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-14).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376233

スケッチするロボットCobbieを使ったデザイナーとのインタラクション

It Is Your Turn: Collaborative Ideation With a Co-Creative Robot through Sketch [1]

共創システムは、計算の創造性の分野で広く探究されてきました。 ただし、これらのシステムの既存のAIパートナーはほとんどが仮想エージェントです。 具現化されたロボットを使って紙にスケッチすることは、デザイナーの初期段階のアイデアやコラボレーションの実践にとってより魅力的である可能性があります。

浙江大学らの研究チームは、多様なスケッチを生成することにより、デザイナーと繰り返し考え合うモバイルロボットの可能性を想定し、Cobbieを製作、その成果を2020年度のCHI会議にて報告しています。

共同創造ロボットと仮想エージェント間の共同創造性とユーザーエクスペリエンスの違いを評価するために、比較実験を行い、定量的尺度、観察、半構造化インタビューから収集したデータを分析しました。 その結果、Cobbieは探求の動機付け、予想外のアイデアの誘発、コラボレーションアイデアプロセスへのデザイナーの関与においてより満足していることが明らかになったそうです。

論文内では、調査結果に基づいて、人間とAIの協調システムの将来の開発のための共創ロボットの展望について議論した結果も載せています。

[1] : Lin, Y., Guo, J., Chen, Y., Yao, C., & Ying, F. (2020, April). It Is Your Turn: Collaborative Ideation With a Co-Creative Robot through Sketch. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-14).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376258

画像とパターニングを用いた3Dプリントオブジェクトの識別方法:G-ID

G-ID: Identifying 3D Prints Using Slicing Parameters [1]

MIT CSAILらの研究チームが、3Dプリントプロセスの積層パターンを利用して、オブジェクトを識別する方法であるG-IDを開発、その成果を2020年度のCHI会議にて報告しています。

この手法における重要なアイデアは、モデルのジオメトリを変更しないが、スライスパラメータを変化させることにより、3Dモデル内に異なるラベル付けを行える点だそうです。3Dプリンタは基本的には下から積み上げていくため、構造体中において、どの順番で積み重ねていくかを3Dモデルから計算し、そのパラメータを調整する事で、画像解析で識別可能にしています。結果、G-IDはオブジェクトに何も追加しないことがメリットになります。

また、層のパターンを表面構造と内部構造の2種類に区分けしてレイアウト出来ることもメリットとして挙げられ、多様な構造を生成できる上に、オブジェクトの識別が可能になるそうです。
実際動画中でも、誰のマグカップか、誰のゲームキャラクターなのかを判別することを可能にしています。

[1] : Dogan, M. D., Faruqi, F., Churchill, A. D., Friedman, K., Cheng, L., Subramanian, S., & Mueller, S. (2020, April). G-ID: Identifying 3D Prints Using Slicing Parameters. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-13).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376202

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