Thermal Ring : サーモカメラを利用したスマートリング

ThermalRing: Gesture and Tag Inputs Enabled by a Thermal Imaging Smart Ring [1]

ユビキタスな入力センサーには、豊かで自発的な相互作用を可能にする入力デバイスが必要です。
中国科学計算技術研究所やLenovo、Huaweiらの研究チームが、動的および静的なジェスチャーのアイデンティティー匿名、照明不変、および電力効率の良いセンシングのために、低解像度サーモカメラを使用したサーマルイメージングスマートリングであるThermalRingを提案し、その成果を2020年度のCHI会議にて寄稿しています。Thermal Ringだけではなく、人間の手からの熱を反射する薄くパッシブなサーマルイメージ可能なタグであるThermalTagも設計しています。ThermalTagは、ユーザーが簡単に作成して日常のオブジェクトに適用できるそうです。

デバイスペアリングのための描画ジェスチャー、デバイスコントロールのためのクリックジェスチャーとスライドジェスチャー、タグスキャンジェスチャーによるクイックアクセスの3つの典型的な入力要求に対するセンシング技術を開発したそうです。
調査結果は、ThermalRingが90.9%の全体的な精度で9つの描画ジェスチャーを認識し、94.9%の精度でクリックジェスチャーを検出し、95.0%の全体的な精度で6つのThermalTagを識別することを示しています。

さまざまなアプリケーションを通じてThermalRingの汎用性と可能性を示しています。

[1] : Zhang, T., Zeng, X., Zhang, Y., Sun, K., Wang, Y., & Chen, Y. (2020, April). ThermalRing: Gesture and Tag Inputs Enabled by a Thermal Imaging Smart Ring. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-13).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376323

FoodFab:食品の3Dプリントを利用した満腹感をコントロールする方法

FoodFab: Creating Food Perception Illusions using Food 3D Printing [1]

Food 3Dプリンティングは、個人のニーズに基づいてカスタマイズされた食品構造の作成を可能にします。

大阪大学とMIT CSAILの研究チームが、食品の3Dプリントを使用して、定義されたカロリー量を前提として知覚満腹のレベルを制御する知覚的錯覚を作成する方法を探り、2020年度のCHI会議にて寄稿しています。

本研究で開発されたFoodFabは、ユーザーが2つの3D印刷パラメーター(インフィルパターンとインフィル密度)を介して食品の内部構造を変更することで、食品の摂取量を制御できるシステムです。
合計30人の参加者を対象とした2つの実験で、ユーザーの満腹感に影響することが知られている、ユーザーの咀嚼時間に対するこれらのパラメーターの影響を調査しました。

結果は、実際に充填パターンと密度を変化させることにより、咀嚼時間を変更し、したがって、知覚される満腹を制御できることを示しています。 その結果に基づいて、2つの計算モデルを提案し、それらをユーザーインターフェイスに統合して、パーソナライズされた食品構造の作成を可能にしたとしています。

今後の作業では、食品知覚研究者と協力して、構造および組成の変化の有効性を評価するとしています。

[1] : Lin, Y. J., Punpongsanon, P., Wen, X., Iwai, D., Sato, K., Obrist, M., & Mueller, S. (2020, April). FoodFab: Creating Food Perception Illusions using Food 3D Printing. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-13).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376421

香料により温冷感を感じさせるTemperature Illusions

HCI系のトップカンファレンス CHI2020で香りによって温冷感を感じさせるTemperature Illusionの技術が発表され、Best Paperを受賞しました。

ゴーグルなどのVR機器は配線などから解放されたUn-tetheredな条件での使用が求められています。その中で映像や音に続いて特に、注目されているのが触覚の領域です。

触覚のうち形状の表出についてはAurorでも下の事例などで紹介しています。

しかし、触感の中でも温冷感は実現することが難しい課題でした。エアコンなどは大きな電力を使うと共に、切り替えにも時間がかかります。一つ有力な方法としてはペルチェ素子の活用などが考えられますが、こちらも大きな電力を消費します。

本研究の著者Jas Brooksらによりますと、VRゴーグルの皮膚と設置している部分に複数のペルチェ素子10個を配置し、−3度の環境を作るには、10分間維持するだけでもスマートフォンの充電の1.5倍程度の電力を消費してしまうそうです。

このような課題に対して、彼らは化学物質を使った温冷感の表現を試みました。彼らは化学物質を局所的に噴射するデバイスを開発しました。

Fig1. 提案したデバイスの外観 ([1]のFigure 6より引用)

1mLのバイアル瓶の中に閉じ込められた化学物質(香料)がポンプによりコンテンツによって噴出されます。光量が鼻腔内の嗅覚受容体に触れることで、人は温冷感を錯覚するという仕組みです。

熱い感覚にはcapsaicin, 冷たい感覚にはeucayptolという物質をそれぞれ使用しています。本研究ではAnova分析などを行い香料が温冷感に与える効果を評価したり、デバイスの消費電力や体感のライフタイムを伸ばすための工夫などについても述べられています。

デバイス自体はさらに小さくする余地がありそうなので将来的にVRゴーグルなどにこのような機能が組み込まれたらますます没入感をましたユニークな体験ができるようになるかもしれないですね。

参考文献

[1] Brooks, J., Nagels, S., & Lopes, P. (2020, April). Trigeminal-based Temperature Illusions. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-12).ISO 690

URL

https://dl.acm.org/doi/10.1145/3313831.3376806

ミニチュア指先キーボードでのテキスト入力方法の開発

CHI 2020 – BiTipText: Bimanual Eyes-Free Text Entry on a Fingertip Keyboard [1]

ダートマス大学らの研究チームが、両手でユーザーの人差し指の最初のセグメントに目に見えない形で存在するミニチュア指先キーボードでの両手テキスト入力方法を開発し、2020年度のCHI会議に寄稿しています。

本手法では、親指先で人差し指の先をタップしてテキスト入力でき、キーボードレイアウトの設計は反復的なプロセスに従いました。
最初に調査を実施し、QWERTYレイアウトのキーの利き手に対するユーザーの自然な期待を理解し、67,108,864のデザインバリエーションの選択肢の中から、ユーザーの期待に満足できる1295の候補を特定したそうです。これらの結果に基づいて、単語のあいまいさと最適化問題を考慮しながら、最適化された両手キーボードレイアウトを計算しました。
ユーザー評価の結果、参加者は平均23.4 WPMのテキスト入力速度を達成したそうです。モバイル、ウェアラブル、VR / ARアプリケーションで提案されているテキスト入力方法の1つのバリエーションになりそうです。

[1] : Xu, Z., Chen, W., Zhao, D., Luo, J., Wu, T. Y., Gong, J., … & Yang, X. D. (2020, April). BiTipText: Bimanual Eyes-Free Text Entry on a Fingertip Keyboard. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-13).

URL : https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376306

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