本論文は2019年度のヒューマンコンピュータインターフェースに関する国際会議であるACM Symposium on User Interface Software and Technology(通称UIST)で報告された内容です。
本論文では、Skin-Onインターフェイスと呼ばれるシステムを提案しています。このシステムでは、インタラクティブなデバイスである人工スキンが、消費者向けに今まで実現してこなかった新しい形式の入力ジェスチャーを可能にする、と主張しています。
この論文の研究では、バイオ駆動型のアプローチに従って、Skin-Onインターフェースの設計空間を調査しており、感覚的な観点から、3つのユーザー調査を通じて人間の肌の外観を再現する方法を研究していたり、ジェスチャの観点から、皮膚で自然に実行されるジェスチャをスキンオンインターフェイスにトランスポーズする方法を検討しています。
また、技術的な観点から、人間の皮膚の感度を真似ることで、ジェスチャーを認識できるインターフェイスを作成するさまざまな方法を調査しています。
これらの調査を集めることで、インターフェイスを実装するために、簡単に複製と製作を可能にするツールキットを提供することでも貢献している、と著者は主張しています。
また、論文内に出てくるユースケースとして、スマートフォンのカバーや、PCのトラックパッド、リストバンドを提唱していたりしており、主にエンドユーザー向けを想定していることがわかります。
それに付随しているのかもしれませんが、この論文で非常に興味深いことの1つとして、Future work部分の考察が多面的であることが挙げられます。生体系からのアプローチ、人間の感情が引き起こす行動面からのアプローチなどから着眼している部分は、自分たちの研究の参考にしてもよいかもしれません。
URL : https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3347943