柔軟な筋骨格の手はモデル化が難しく、そのモデルは時間の経過による劣化、初期化の再現性の欠如などにより絶えず変化する可能性があります。
また、手による物体認識、接触検出、接触制御には、タスクごとにトレーニングされたニューラルネットワークを使用せず、1つの統合ネットワークのみを使用することが望ましいとされています。
東京大学とトヨタ自動車の研究チームが、パラメトリックバイアスを使用したリカレントニューラルネットワークを使用して、筋骨格手のセンサの状態方程式を取得する方法を開発、その研究成果を2020年度のIROS会議にて報告しています。
開発したこのネットワークを利用することで、手は把持物の認識、接触シミュレーション、検出、制御を実現し、パラメトリックバイアスを更新することで経年劣化や初期化の再現性などに対応できるとしています。
具体的には、手はパラメトリックバイアスの違いによって把持された物体を認識できるため、その接触状態はネットワークの転送によってシミュレートできます。
また、手はネットワークの予測誤差を利用して接触検出を行うことができ、制御入力へのバックプロパゲーションにより現在のセンサー状態を目標値に近づけることで接触制御を行うことができるとしています。
この研究を筋骨格ヒューマノイドの手に適用し、その有効性を示しています。
URL : https://ieeexplore.ieee.org/document/9117018