汗をかくように自身の温度を調整するソフトロボット

汗をかくように温度に応じて自身の温度を調整する機能を備えた3Dプリンタで作られるソフトロボットがScience Roboticsに掲載されました。

Robert F. Shepherd氏らが率いるコーネル大のチームはこれまでにも3Dプリント可能な自己修復機能を備えたソフトロボットなど、素材とデジタルファブリケーション を生かしたユニークな研究を行ってきました。

今回提案されたロボットはアクリルアミドによる柔らかなボディ部位と温度に対して表面の孔サイズが変化する部位から構成されています。

温度に対して変化する部位は酸化鉄のナノ粒子と温度応答性のポリマーとして知られるNIPAAm(Nイソプロピルアクリルアミド)が用いられています。

NIPAAmは20度程度では浸水的に振る舞いますが、温度が上昇していくと分子鎖の運動が大きくなり、LCST(下限臨界温度)を超えると脱水和を起こし収縮した状態が安定になることが知られています。

本研究では、彼らはPoreの有無やソフトロボットを動作させる流体の温度などを変化させながらそのボディの変化とソフトロボットのパフォーマンスを評価しています。

図1 提案したソフトロボットの外観と駆動の様子([1]のFig.3より引用)

その結果、提案手法は重量当たりの冷却の効率が高いことを過去の研究例と比較して示しています。

今回は複数のマテリアルの組み合わせを用いていますが、論文中ではトレー自体を交換しているようで実装できる形状自体はまだ多少の制約は存在しているようです。

コーネル大のグループのように素材を分子レベルからチューニングでき、それをFabricationやロボティクスの文脈で評価できるグループは今後もユニークな成果を出していきそうですね。

参考URL

原文(Open Access) :https://robotics.sciencemag.org/content/5/38/eaaz3918

参考文献

[1] Mishra, A., Wallin, T. J., Pan, W., Xu, P., Wang, K., Giannelis, E. P., … Shepherd, R. F. (2019). Autonomic Perspiration in 3D Printed Hydrogel Actuators. Science Advances, accepted(January), 1–10.