複数マテリアルを複数ノズルで3Dプリンティングする手法がNatureから発表されました

Voxelated Soft Matter via Multimaterial, Multinozzle 3D Printing [1]

Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Science(SEAS)とWyss Institute for Biologically Inspired Engineeringの研究者は、複数のマテリアルを複数のノズルを使った3Dプリンティングを用いて柔らかい物質を作成する手法を開発し、Natureにて発表しました。

現在、インクジェットベースの3Dプリンティングは、高精度で物体を作成できる広く採用されている方法ですが、印刷を成功させるために低粘度インクを使用する必要があります。対照的に、押し出しベースの3D印刷方法であるDirect Ink Writing(DIW)は、はるかに広範な材料をパターン化することができます。ただし、単一素材を制作はできますが、マルチマテリアルの物質を生成することは困難でした。
本研究では、材料の組成、機能、構造をプログラムしたマルチマテリアルマルチノズル3D(MM3D)印刷を使用して、ソフトマテリアルの設計と製造を報告しています。本研究で報告しているヘッドは、複数の粘弾性材料が接合部で収束するときに発生するダイオードのような動作を利用して、最大8つの異なる材料間でシームレスな高周波スイッチングを可能にしており、ノズル直径の立方体に近い体積の物体を作成しています。実際に周波数を変えて物体を作っているので、非常に面白い取り組みと言えます。

具体的なアプリケーション例として、折り紙パターンと、数桁異なる剛性の複数のエポキシおよびシリコーンエラストマーインクを同時印刷することで移動するソフトロボットを製作し、動画内にも示されています。

この研究で示されている手法は、複雑なモチーフで設計および製造できる材料のライブラリを大幅に広げると同時に、複数のマテリアルを同時に編み込めることで、適用できるデバイスの可能性が広がるため、非常に可能性がある技術だと言えます。

[1] : Skylar-Scott, M. A., Mueller, J., Visser, C. W., & Lewis, J. A. (2019). Voxelated soft matter via multimaterial multinozzle 3D printing. Nature575(7782), 330-335.

URL : https://www.nature.com/articles/s41586-019-1736-8